93歳 冬 旅立ち
こんなつもりじゃなかったんだよこんなに長引くとは思わなくてこんなに苦しくて辛い時間をベッドで過ごさせるつもりはなかったんだよ眠るように枯れるように逝かせてあげられるんならそれが一番いいだろうと思ったんだよなにが眠るようにだなにが枯れるようにだどんな言葉をかけようとどんな言い訳をしようとどんなに謝ろうともう後戻りはできないたとえ今方向転換したとしても元気な頃に戻れるわけではないただ単に先延ばしにしもしかしたら今以上に辛い時間を引き延ばしてしまうだけかもしれない12月16日9:30施設に到着今朝はまだおしっこも出たらしい血圧は66/48と下がって来たようだ部屋に行くと喉のガラガラ音は聞こえないけど肩で息をする叔母が眉間に皺を寄せた状態で眠っていた昨日より息が荒い時折りさらに荒くなったりする11:00オムツ交換おしっこは無し姿勢を変えていただく私が小さかった頃祖父母と叔母の3人と我が家4人と叔父家族5人と嫁いだ叔母以外はみんなそれぞれ家を建てて同じ敷地内で暮らしていた祖父は56年前に脳疾患で急逝祖母は54年前に心筋梗塞で急逝次男の叔父は死因は忘れたけど40年くらい前に病気で他界長男の父は29年前に肺気腫からの肺炎で他界長女の叔母は脳疾患で12年前くらいに前に他界一番の末っ子のこの叔母が一番長生きして今93歳昭和40年代前半の頃はまだ町医者の往診があった病院もあったし入院も出来たんだろうけどその頃の祖父母の家ではお医者さんに家に来てもらっていたと昔聞いた具合が悪ければ布団に寝かせ畳の上で町医者の診察を受ける今みたいな点滴とか延命とか、、あったのか無かったのか分からないけれど祖父母共に畳の上の布団の中で往診の先生に死亡診断を受けている次男の叔父は1月に人間ドックで健康のお墨付きをもらった直後に病気が発覚5月に亡くなるまで病院に入っていた長男である父も前年の2月に仕事先でインフルエンザにかかり3月に肺気腫で入院入退院転院を繰り返し翌年の1月に病院で亡くなった長女である叔母は脳梗塞で倒れて入院リハビリを経て娘である従姉妹の家の近くに引っ越し一人で暮らしていたがある朝通っていたデイサービスのお迎えが来るといつものように娘である従姉妹が電話しても応答がなかったので家に行ってみると事切れた叔母が倒れていたんだそう生涯独身だった叔母の「家族」はもう誰も残っていない従姉妹たちも自分たちの親が生きているうちは叔母のことを気にかけてもいたが叔母だけになってしまうと徐々に連絡もしてこなくなった叔母は元気な頃に甥や姪たちにいずれ面倒を見てもらうんだからとその子供たちへのお年玉や誕生日やクリスマスのプレゼントをせっせと贈っていたもちろん我が家の息子たちも、、叔母は私の実家の同じ敷地内に建つ叔父の家を譲り受けてそれこそスープの冷めない距離で暮らしていたでもいろんな、ホントに色々な事があって実家を手放さなきゃならなくなってそこからもホントに本当に色々な事があって認知症になり今の住宅型有料老人ホームに辿り着いたのだが離れて暮らしていた従姉妹たちと私とでは叔母との関係性がかなり違うみんな関わりたくないんだ、とか恩を忘れちゃったんだ、、とかいろいろ思うところはあるけれどたぶんわたしが離れて暮らしている従姉妹たちと同じ立場だったら何も言ってこないなら見て見ぬ振りーーって考えただろうな責められないのかもな息の荒い叔母を見ながら何もやることもなく昔のことをいろいろと思い出してしまった叔母と婆さんは小姑と長男の嫁の立場二人の間にもいろいろあってお互いにお互いを嫌っていたあんなことこんなことホントに色々あったよなーー12:00過ぎたあたりから呼吸がさらに荒くなる顔を顰める頻度が上がるずっと肩で息をしている胸が大きく上下するうっすら汗ばむ13:30さっきまで荒れていた呼吸が一回一回深い呼吸に変わる息を吸うたびに顎が上がるさっきまでの苦しそうな表情から少し緩んだような、、これって、、もしかして、、胸に手を当てる脈を取る心臓が動いているように感じない婆さんの時と同じ息を吸い込んではいるけど吐き出してないすると急にずっと閉じていた目をカッと見開いたあぁ、、、もうすぐなんだ、、一定間隔で短く息を吸う目は空を見つめる婆さんはこうなってからすぐに呼吸が止まったおばちゃんお疲れ様もう頑張らなくていいよわたしそばにいるよひとりじゃないよー怖くないよーおじいちゃんとおばあちゃんもきっとそばにいるよ93年間お疲れ様ーー、おばちゃん息を吸い続ける叔母になんだかそんなような事を言ったと思う涙も出て来た苦しませてしまった後悔が押し寄せるところがところが叔母は10分、、20分その状態が続いたゴクンと唾を飲み込むような喉の動きもする一旦呼吸が止まるでもまた息を吸うでまた止まる胸に手を当てても心臓の動きは感じられない脈も取れないなのに、、これって何⁉️生きようとしてる⁉️あまりにも長いので涙はすっかり止まり呆然、、えーーっと、、正直困惑、、すると大きくゴクンと唾を飲み込むような喉の動きを最後にピクリとも動かなくなったスマホの時計を見る2025年12月16日火曜日 13:58叔母の長く苦しい時間が終わったいままでお世話になりました私に看取らせてくれてありがとうじいさんとの約束私の責任果たす事ができました93年もの長い間本当にお疲れ様でした