「ユダヤ人に対するイメージが生まれた背景①」で、原因の一つにヒトラーの教育政策を挙げた。しかしユダヤ人は、ヒトラーが政権に就いてからいきなり迫害されるようになったのではない。
ヨーロッパにおける「ユダヤ人迫害」には非常に長い歴史がある。それはユダヤ教が成立した約2000年も前からあったが、時代とともに増し、そしてヒトラーによってそれがはっきりと明るみに出たといえるだろう。
歴史、ヒトラーの政策のほかにも原因は考えられる。例えば、家族の伝統もしくは閉鎖的な階級制度によって受け継がれてきた結果生まれる偏見だ。幼いこども時代から「ユダヤ人は~だ。」と言い聞かせられてきたならば、本人はその自覚はなくとも反ユダヤ主義の考え方が身についてしまう。
また、19世紀後期に広く流布していた生物学上の考察「優生学」を信じてしまうことだ。
1859年イギリスの植物学者チャールズ・ダーウィンは、その著書『種の起源』 において、生物の進化が「淘汰(=自然選択)」により引き起こされていることを発表、その後研究は彼のいとこフランシス・ゴルトンに受け継がれた。彼は初めて優生学を提唱し、淘汰の考え方を人間に直接応用し、優生学が誕生した。
優生学にはA.積極的優生学とB.消極的優生学の2種類に分けられるが、ドイツを含め多くの国で行われたのは後者の方である。これは、「精神障害者や知的障害者といった重い遺伝病患者たちに産児を制限・隔離・断種を行い、その遺伝を断ち切る」というものであった。
優生学による民族的偏見がユダヤ人に対する迫害を正当化し、「ドイツ民族はアーリア人の血を受け継ぐ高貴な優秀な民族であり、世界の覇権を握るべきであり、人種汚染して、ドイツを滅ぼそうとするユダヤ人、スラブ人は下等劣等人種であり、排除されなければならない」という考えに至らせた。
とはいうものの、優生学を悪用し、ユダヤ人を遺伝的に欠陥があると国民に思わせたのはヒトラーを含むナチス・ドイツであるため、これは歴史的な問題というより、ヒトラーの政策によって生まれたイメージであるといえる。
~参考ウェッブリソース~
ナチス優生学と人種民族ジプシー差別:鳥飼行博研究室
http://www.geocities.jp/torikai007/1939/racism.html
第3章 優生学とは何か
http://homepage2.nifty.com/etoile/hansen/03eugenics.html