「大丈夫ですか?」
そう、心配そうに声をかけられた記憶はある。
ただ、自分が返事をした記憶はない。どうやらそこで途切れているようだ。
そして起きると、
「あ、おはようございます。えーっと、台所勝手に借りてますけど、いっすか?」
台所のど真ん中でやかんを持って立っているジャージ姿の男が目に入った。
いっすか?じゃねぇよ。つーか、お前俺が記憶無くす前はスーツだったろうがよ。どうしてジャージなんか着てんだよ。準備良すぎだよ。
「…何やってんの?」
「腹減ったんで、ラーメンとか…あ、ちゃんと買ってきたヤツです」
当たり前だ。俺の買い置き食ったらぶっ殺す。つーか、台所勝手使用の罪で半殺しだっつの。あぁ、それどころじゃねぇ。重要なのはそこじゃねぇ。現在の最重要ポイントは…
「あのさぁ、君、誰?」
コイツが誰か、ってことだ。
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なんとなく。起きたらいた、って始まりはどうだろう?
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俺は、どうしてここにいるのか分からないんだ。
どうして、って…自分で来たのに?
どうして、今、ここにいるのかが知りたいんだ よ。何か訳があるはずなんだ。だがそれはすごく曖昧で、掴もうとしてもすぐに逃げる…。
それが分かったら、何かいい事あるの?
何も無いだろうな。ただ、俺が満足するだけだ。
『沈黙したい。
鈍感になりたい。
好きな人やものに対してだけ感覚がオープンになればどれだけ楽なるだろう、
好きなものが、
本当に永遠に移り変わらないと確信できたらよかったのに』
by某特撮SSより抜粋
たいがい気付いたが、ナニゴトも弱い事は損なんだって事だ。そのせいかワリを食う事が多いし、勿体ない事もある。考えてもみろよ。ヒロシマもナガサキも北朝鮮の拉致も、とんでもない目に遭ってるくせに強気になれない。反対にアメリカも北朝鮮も加害者でもあるワリに被害者意識満々でヤケに高圧的じゃねぇか。それは日本て国が意識も立場も弱いからだよ。変に見栄もあるから、図々しくもなれない。だからな、弱いってのは損なんだよ。…ってことを、俺はついこの間の飲み会で痛感したね!
…酒かよ!
ヘイハチ最高!
でも、シチロージとヘイハチって組み合わせは無いのね…。イチから見たら、また違うのかや?
だって、シチさんはカンベエの古女房的存在なんだもんなあ…うーん。ヘイキュウが多いのも不思議。
いっそ強風によって何もかもが壊れてしまえばいいと何度考えただろう。考える所かそうなった事を想像して甘美な空想に浸るのだ。たがそれは確実に有り得ない。そしても行かねばならないあの場所へと思いを馳せ、妄想とのギャップに吐き気を催すほどの嫌悪を感じる。どうして自分ばかりが、と思う反面、なぜ上手く立ち回れないのだろうと自分を責める。
後六ヶ月だと言われるが、よくやってるよ、いい経験だと言われるが…もう嫌なのだ。自分の誇りを削られ、努力が一笑にふされ、一部の人間の行動にビクビクする自分がどうしようもなく嫌なのだ。