人間に命中すると身体が千切れ飛ぶ凶悪ライフル!?
アンチマテリアルライフル
・復活した対戦車ライフル?
第一次世界大戦時に出現した“戦車”に対抗するため、急遽開発された兵器が“マウザーM1918対戦車ライフル(タンクゲヴェータ)”だった。
対戦車ライフルは第二次世界大戦初期にも実戦で使われたが、戦車の装甲の進化とロケット弾など他の対戦車兵器の発達によって、次第に使われなくなった兵器だった。(ソ連軍ではロケット兵器の開発が遅れたため、第二次世界大戦中も歩兵の対戦車兵器として対戦車ライフルが使われていた。※戦車の装甲は打ち抜けないが、車外に顔を出している戦車長を狙ったのだ)。
だが、この大口径の対戦車ライフルの射程とパワーと命中率は魅力的であり、対戦車ライフルは『アンチ・マテリアル・ライフル(対物ライフル)』として現代に復活したと言える。
なかでも“ブラウニングM2重機関銃”と同じ50口径(12,7ミリ)の弾薬を使う“バレットM82”は、最も有名な対物ライフルだろう。現代の主力戦車の装甲を貫通することは不可能だが、軽装甲車車両や敵陣地をアウト・レンジで攻撃できる恐るべきパワーをもつライフルだ。
巨大な“12,7ミリ弾(12,7×99ミリNATO弾)”は、弾道直進性が高く、遠距離射撃に向いているといわれる。発射される弾丸が重いため、遠距離射撃の際に空気抵抗や横風の影響を受けにくく、7,62ミリ弾などと比べて速度低下が少ないためだ。
実際にヴェトナム戦車では、アメリカ海兵隊の伝説の狙撃兵“カルロス・ハスコック軍曹”がセミオート状態にしたM2重機関銃にスコープを取り付けて、2300メートル先の敵兵の狙撃に成功した記録がある。
また、フォークランド紛争時にアルゼンチン軍がM2重機関銃で遠距離狙撃をした例があり、これがアンチ・マテリアル・ライフル開発の契機となったとされる。
※バレット・ファイアアームズ=アメリカの銃器メーカー。“ロニー・バレット”が1983年に設立。
※50口径=1インチ(25,4ミリ)を100として、その半分を50口径(12,7ミリ)としている。
※ブラウニング=“Browning”は、日本では『ブローニング』と表記される事が多い。
※“銃”というより“砲”=銃と砲の区別は時代や軍によって違うが、現在では口径20ミリ以上の火器を“砲”としている。