第十一話 銃弾を打ち砕くガラス

 

どうも、いつも使っていたタブレット天寿を全うしたサイエンス中野(炭素)です(泣)。今回はガラスの話をしようと思います。

 

皆さんガラスと聞いてまず思い浮かべるのは、よく窓ガラスに使われるような割れやすいガラスでしょうか。あのガラスはフロートガラスと言います。フロートガラスは割れると、刃物のように鋭い破片になります。一方、フロートガラスの3.54倍の強さを持つ強化ガラスは、割れると粉々に砕けちります。強化ガラスは車のフロントガラスなどに使われており、割れても鋭い破片にならずフロートガラスより安全性が高くなっています

 

さて、ここで質問です。ガラスには他にも防犯ガラス、防火ガラス、すりガラスなどがありますが、「プリンス・ルパートの滴」というガラスをご存知でしょうか。別名「オランダの涙」とも言われています。

 

 

 

これが、プリンス・ルパートの滴です。名前の通り、滴型のガラスで、中に真空の空間があることが特徴です。

 

では、プリンス・ルパートの滴の作り方について簡単に説明します。高温で溶かしたガラスを垂らして冷水に落とすと、溶けたガラスは滴型のまま、急速に冷却されます。しかし、いきなりガラス全体が冷やされるわけではなく、まず冷水に接している外側だけが冷やされます。そして、内側が冷え固まるときに、すでに固まっている外側から内側に向って圧力がかかります。逆に内側には外側に向かって引っ張られます。この「急速に冷やして硬くする」という考えは強化ガラスと同じです。押されたり、引っ張られたりしながら固まるので、ガラスの中で歪みが生じています。この歪みは偏光板などで見ることができます。

 

強化ガラスと同じという事は、このプリンス・ルパートの滴は硬いということですよね。では、どれほど硬いのでしょうか。

この動画を見てください。

 

 

https://laughingsquid.com/wp-content/uploads/2017/04/prince-ruperts-drop-shots.gif?w=750

 

 

CGなどは一切使ってないみたいですよ。プリンス・ルパートの滴の頭部は映像のように銃弾を打ち砕く程硬いガラスです。では、細い尾部はどうでしょうか。

実をいうと、尾部は簡単に折れてしまいます。以下の動画は、ペンチで尾部を折った映像です。

 

 

http://i1.go2yd.com/image.php?url=0GKpX46w8q

 

 

強化ガラスは割れると粉々に砕け散ります。プリンス・ルパートの滴も同様ですが、この砕け方、美しいとは思いませんか。ちなみに、割れが尾部から頭部に伝わるスピードは秒速1450~1900メートルという速さ。肉眼では到底見えない速さです。

 

さて、前述したように、プリンス・ルパートの滴の内部には歪みがあります。この歪みは大きなエネルギーを持っています。ここで、尾部を折ると歪みエネルギーが一気に放出され、粉々に砕け散ります。それが、先ほどの動画のように砕ける理由です。

 

今回の化学小噺は以上になります。話は変わりますが、もうじき12/2に国際展示場(東京ビッグサイト)にてゲームマーケットが開催されます。我々Element CreatorsG091にいますので、是非立ち寄ってみてはどうでしょうか。