原田治子の人生を語るとき、欠かすことができないのは叔母、奥村勝子のこと。



 



叔父、奥村喜和男と共に、両親の次に大きな影響を与えた人物です。



 



 



戦前戦中は高級官僚の妻として、戦後は貿易会社社長夫人として、



 



世田谷の邸宅と軽井沢の別荘を年に数回行き来し、夫の死後は、



 



原宿のマンションに住みながら、日本画家として自立し、



 



90歳超えて独り暮らしを続けました。



 



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女学生時代から雑誌の表紙に起用されるなど美しく、社交界の華と讃えられた彼女でしたが、



 



その美しさは年齢を重ねて益々磨きがかかり、



 



往年のハリウッド女優を彷彿させるファッションと優雅な立ち振る舞い、



 



なにより江戸っ子らしい粋な性格で、多くの人から愛されました。



 



多くの著名人との親交を持つ中でも料理研究家・飯田美雪先生、作家・遠藤周作先生とは



 



深い信頼感と敬愛で結ばれ、生涯その友情は続きました。



 



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奥村勝子の絵が使われた遠藤守作先生のご本の表紙



 



 



そんな叔母に原田治子が憧れないはずはありません。



 



娘時代から度々上京しては、叔父と叔母に案内され、帝国ホテルをはじめ、



 



和光、サンモトヤマなど一流ホテル、名店をめぐり、



 



都内や軽井沢で開かれる名士主催の園遊会などに出席するようにもなりました。



 



 



けれども母の心を一番打ったのは、上京した自分のために叔母宅に用意された



 



今まで見たことのないようなテーブルコーディネートやお料理とお菓子の数々。



 



いたるところに飾られた美しい花々、センスの良いインテリア、



 



掃除の行き届いたお部屋・・・。



 



 



自宅に招かれる喜びと、こんなにして待っていてくださったという感激と恐縮。



 



それと共に、『自分もいつか人を自宅に招くときは、ここを目指させばならない』



 



という覚悟にも似た目標が心に芽生えたのでした。



 



 



つづく・・・



 





 



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引用元:原田治子 Story ⑦『奥村の叔母様』