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■『憂鬱な日曜日』

●前回までのあらすじ。3月11日。突如、東日本を襲った大地震。お腹の中に赤ちゃんの居たママとモモ(4歳。本編の主人公)は、パパと爺さんを残して、ママの姉さんの住む徳島県へと避難した。
▼震災から1ヶ月が経ち、無事に妹(さくら)が生まれて大喜びするモモだったが、喜んだのも束の間。大人の事情により、今度は赤ちゃんとママを徳島に残し、再びパパと共に福島県へ帰る事になった。
「ねぇ、どうしてママとさくらは一緒に行けないの?」
ま、すぐに会えるよ、というパパとママの言葉を信じて、ひたすらママと赤ちゃんを待ち続けるモモ。しかし、待てど暮らせど、いっこうにママと赤ちゃんは帰って来ない。
「すぐ会えるって言ったじゃん!嘘つき!」
遂にイライラが爆発するモモ。口から泡を吹き気絶するパパ。
▼そんなある日の朝、パパの知り合いの写真家さんが、昨日、アメリカから届いたという珍しいレンズを使って、パパとモモを試しに撮ってみたい、という話がパパの携帯電話に掛かってきたのであった…。

○1 工場前の道。

写真家が、パパとモモを大きなカメラで覗いている。

▼以下、A…モモ、B…パパ

A:…(小声で)ねぇ、ねぇ、パパ?

B:…ん?

A:モモちゃんねえ…

B:うん。

A:パパとじゃなくて…

B:んん?

A:モモちゃん一人で撮ってもらいたいよ。

B:(笑)

シャッター音。

おしまい!


■『となりの男』

○1 レンタルビデオショップ。

男1は、DVDを選んでいる。男1のすぐ後ろにもDVDの陳列棚があり、男1はDVDの陳列棚に挟まれた場所に居る。

「おにいさん」

男1は、自分を呼ぶ声に気づき、声のする方(下手側)に頭だけ振り向く。振り向くと、男1の隣には、男1の全然、知らない男2が居る。

男2は、DVDを選んでいる。

男1は、声が自分を呼んでいる声ではないと思い、またDVDを選ぶ。

「今日は、おにいさんおひとりですか?」

男1は、もう一度、声のする方に振り向く。男1は、男1の隣の、男2の隣に、男1の嫁の妹の彼氏、男3を発見する。

男1:(男3に)あぁ!誰かと思ったよ。

男2は、男1を見る。

男2:え?

男1は、すぐに男2の様子に気がつく。男3は、男2の存在を気にも留めず、男2を挟んだその場所で続ける。

男3:モモちゃんと、おねえさんは、今日はお家でお留守ですか?

男1:(男2に対し、少し躊躇して)…いや、たぶん、キッズコーナー?とかに居ると思うよ。

男2:……(男1に対し、誰が?という表情)

男1は、男2に、貴方に言ってるのではないよ、という意味で、頭を左右に振る。

男2:……(男1に対し、え?俺?というように、人差し指で自分の顔をさす)

男3:そうですか。なんか、おもしろそうなのありました?

男1:(男2を笑いそうになりながら)…おもしろそうなの?

男1は、男2に、貴方じゃないよ、という意味で、頭を左右に振り、男2の後ろに居る、男3を指さす。

男3:おもしろい、っていうか、最近観た、お勧めの映画とかあります?

男2:……(後ろは振り向かず、まだ、俺?俺?と自分の顔を指さし、頭を縦に振る)

男1:(男2の行動を笑いそうになりながら)最近観た、お勧めの映画ねえ?…あ、そう言えば、こないだ君に勧められた、あれ、おもしろかったよ。(と言いながら、男2に、ちがう、ちがう、後ろ、後ろ、と男3を指さす)

男2:……(自分の顔を指さしながら、こないだ俺が勧めた、あれ?というような表情)

男3:…こないだ俺が勧めた、あれ?

男1:(ついに笑いながら)ふふ…あの、なんて言ったかな…?死んでしまった監督の、今、今…

男3:…死んでしまった監督の?今?

男2:……(死んでしまった監督の?今?というような表情)

男1:今、じゃなくてさ…あ、こん!こん!こんさとし!今敏!

男3:ああ、今敏。

男2:……(今敏?という表情)

男1:(笑いながら)はは…今敏の、ほら…

男3:パプリカ!

男1:そう、それ、パプリカ!

男2:……(パプリカ!?という表情)

男3:「パプリカ」おもしろいですよね。

男1:「パプリカ」おもしろかったよ、うん。

男2:……(ああ、そうですか、という表情)

男3:なんか色が綺麗でしたよね。

男1:(男2に対し、困ったな、という表情で)そう、色がね、綺麗で。…そうだ!そう言えば、今日、ひ~ちゃんは?ひ~ちゃんと一緒じゃないの?

男2:……(ひ~ちゃん?誰それ?という表情)

男3:ああ、今日は友達と飲みに行くって言ってました。

男2は、驚くように後ろを振り向き、男3を発見する。

男2:……(男3に対し、軽く頭を下げる)

男3:?

男1:…ぷくっ(男2を笑わないように努力するが、変な音が漏れる)

男2は、男1を見る。

男1は、男2を見る。

男2:……(頷く)

男1:……(頷く)

沈黙。

男3:ごほ、ごほっ(咳き込む)

男2は、また陳列棚のDVDに視線を戻し、目の前のDVDをひとつ手に取って、白々しくパッケージの裏を読む。

男1:(男3に)…風邪?

男3:…ごほっ(咳き込みながら)…いや、風邪、じゃないと思うんですけど。

男2は、手にしたDVDを陳列棚に戻す。

男1:風邪、また流行ってるらしいからね。

男2は、頭を少し下げ、男1の前を(上手側に)通り去る。

男1は、男2の後ろ姿をしばらく眺めた後、男3の方へ近づく。

男1:(笑いながら)ははは。今の人、可笑しかったねえ。

男3:今の人?

男1:いや、さっきまでここに居た人。

男3:誰か、知ってる人が居たんですか?

男1:え?

男3:え?

男1:いや、全然、知らない人だけど…

男3:そんな人が居たんですか?

男1:ええ?

男3:え?

沈黙。

男1:…くっさ!

男3:臭いっすよね?

男1:くっさあ!

男3:臭いっすよね!

男1:くっさ~!

男3:臭いっすよね~!

男1:屁?

男3:俺じゃないっすよ!

男1:俺じゃないよ。

間。

男1:…あっ

男3:え?

男1:さっきの…

男3:さっきの?

男1は、後ろを振り返るが、誰も居ない。

男1:…妖精?

男3:は?

男1:屁の

男3:への?

店内に「ソニー&シェール」の「アイ・ゴット・ユー・ベイブ」が流れる。

おしまい


■『永遠も延々と』

▼悪い事をすれば地獄に墜とされ、良い事をすれば天国へ昇れると言います。(誰が言ってるか知らないけど)
▼さて、地獄に墜ちるほどの悪い事や、天国へ昇天できるほどの良い事とは、いったいそれはどういう基準で決められるのでしょうか?そもそも、そんなものが本当に存分するのか?するはずが無いぞ、というような話しはいったん何処かに置いときまして。
▼地獄に墜ちると、とてつもない苦痛が待ち受けていると聞きます。(誰が言ってるか知らないけど)

▼例えば…

『針山の上を裸足で歩かされる』

『火に焼かれる』

『水に浸けられる』

『すごい重い物を背負わされる』

『鬼に叩かれる』

etc…

▼あぁ、いやだいやだ。つらすぎます。
▼しかし、それらすべての苦痛において、やはり最も過酷なのは、その苦痛に「終わりが無い」という事ではないでしょうか?つまり、死ぬほどつらくても、「もう死んでるから死ねない」ということです。これはつらい。ほんと、最悪です。
▼そう考えると、永遠というやつは、まったくもって厄介で恐ろしいことだと思います。

▼では、そこで対極にあるという天国ではどうでしょう?

▼例えば…

『お花畑で読書』

『自由恋愛』

『フルーツ食べ放題』

『暑くも寒くもなく、裸でティータイム』

『人々は皆、優しい微笑みを浮かべながらはなしかけてくる』

『ダンスに誘われる』

『そして讃美歌を歌う』

etc…

▼どうでしょう、この感じ。やっぱり永遠というやつは、とてつもなく厄介で恐ろしいことだと思います。そして、物語には必ず終わりがあってほしいと思います。なぜそう思うか、とくに理由はないけど。