電磁砲発射!

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お久しぶりです。電磁砲44です。

 

 昨年末からいろいろなことが起こっていて、ブログの更新がこの2か月間できていませんでした。いやぁ、堪える・・・。

 

 今回は八潮市の道路陥没事故について、「陥没原因が硫酸腐食によるものでは?」というNHKの報道がありましたので、その点について解説したいと思います。

 

1,事故の概要

 令和7年1月28日午前9時ごろ埼玉県八潮市の県道54号線上に突如陥没が発生、トラックが巻き込まれて74歳の運転手が今も取り残されています。翌日に荷台部分がクレーンで引き上げられましたが、運転台は持ち上げることができず、また、この際に別の場所でも陥没が発生しました。この二つの陥没は現在一つにつながってしまっており、救助も難航しています。

 

 原因は道路の下を走る直径4.75mの下水管が破断して、そこに土砂が流れ込んで陥没したと見られています。

 

2,陥没の拡大

 この下水管ですがかなり直径が大きく、また、他の下水管が合流していることもあるため、この部分に流れ込んでくる水量はかなりのもののようです。私は土木の専門家ではありませんが、このような水流が多い場合は土砂がどんどんと削られていくため、周りが崩落する可能性が高くなります。

 また、これだけの排水を処理する管ということは代替の管はないものと思われます。

 

3,陥没の原因

 この下水管ですが、どうやら鉄筋コンクリート製の管の様ですが、先ほどNHKの「ニュースウォッチ9」で解説していたのは硫化水素ガスによる腐食の可能性でした。

 

 

 硫化水素ガスが空気中の水と反応して硫酸となり腐食させたのか管腐食の原因ではないか?ということです。硫化水素ガスは生ごみなどの有機物から発生し、人間は一定濃度以上の硫化水素ガスを吸い込むことで意識障害や最悪、死亡することもあります。

 

 

 下水管やごみ焼却の現場ではこれらのガスが発生しやすい環境のため、閉鎖空間へ入るときは必ず酸素濃度を測定します。

 今回の事故で転落した運転手の救出が難航しているのはこの点もあります。誤って硫化水素ガス濃度の高い場所へ人が無防備に入ると突然倒れてしまったりします。この場合、倒れている人に無防備に近づいてはいけません。自分も倒れてしまいます。

 

4,硫酸による腐食

 私は発電型ごみ処理場でボイラータービン主任をしていたこともあって、ボイラー水管で起こる硫酸腐食はいくつか見ました。ボイラーのガス側では、焼却灰というかボイラー灰内に硫化水素が溶け込んでいるため、水管にボイラー灰が付着して何らかの原因で水分を含むと腐食が始まる可能性が高まります。この場合、焼却はそのまま継続しているため、灰は常に供給されることになります。さらに水分を灰が含むことで連続的に腐食が発生し破断します。このような水管の破断はボイラーを運転していれば一度や二度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

5,下水管とボイラー水管の腐食

 今回の事故は鉄筋コンクリート造下水管で発生しましたが、私は硫酸腐食がコンクリートで発生することはあまり聞いたことがなかったので、正直驚きました。

 ボイラーにおける硫酸腐食は水管が鉄管のため進行スピードは速く、そのために発電用ボイラーにおいては停止の度にボイラー灰の除去が必要になります。また、一年に一度は水管の肉厚測定も行います。いくら灰を除去してもある程度の腐食は防ぐことができません。進行を遅らせつつ、現在の水管肉厚を測定し現状を把握します。

 ところが今回の下水管の腐食では灰のようなものがなく、部分的に硫化水素ガスが蓄積した場所が破断したということの様です。下水管には5年に一度管渠点検があるようですが、ボイラーのように毎年やっているわけではありません。その性質上、年に何度も下水を止めて点検することは現実的ではありません。腐食速度が焼却灰ほどあるわけでもないと思われますが、今回、このような事故が起こってしまったわけです。

 

6,インフラの老朽化は待ったなし

 現在、日本の下水道は45万km、地球11周分だそうです。しかも、建設から50年を超える下水管は3万km、これだけの距離の下水道を点検・改修するというのはできるのでしょうか?

 また、インフラは土木部門をとってみても道路・橋・トンネルから下水道まで幅広いです。その他にも電力や発電所いといった電気インフラなど、老朽化は待ったなしです。

 これから進行する少子高齢化で地方自治体の財政状況は悪化すると思われます。下水道維持を管轄する地方自治体の技術系職員は減る一方です。このままでは技術伝承がうまくいかないばかりか、インフラ維持すら満足にできなくなる日が来るのではないでしょうか。

 

 明日、あなたの歩いている道路が陥没することを考えてみてください。それは突然起こりますが、その予兆は必ずあります。その予兆をとらえることができるのは経験豊富な技術職員です。今、これらの採用が受験者減でなくなりつつあることに本当に危機感を覚えます。

 

 具体的な解決策は提示できませんが、本当にインフラの更新は待ったなしの時代に入っていると思われます。

 

 今回は以上です。