しばらく前に裁判員として裁判へ参加してきたので感想を。
事件の具体的な内容は控えるとして、
ちょっと特殊な事件で複数名の被告人を裁く内容でした。
話せばキリが無いところですが、大きな感想として2点ほど。
1つは、犯罪は直接的な被害者は勿論だが、
間接的な被害者をも生んでしまうという点に気が付かされた。
具体的には、被告人の家族や友人、職場等々に与える影響。
もう1つは、裁判とは"人が人を裁く"という点に、魅力というか、
言葉には表しにくい感情を抱いた点。
そもそも裁判について、小学生でなんとなく三権分立?とか
習ったなぁ・・・レベルであったので、今回の体験で、刑事裁判の
大まかな流れを理解し、多少なりとも司法へ興味を抱く事となった。
従来、裁判は、漠然と検察官vs弁護士のような構図を抱いていたが、
そこに、中立である裁判官(員)がおり、裁判が行われる事を再認識
した。(当たり前だが・・・)
また、あまり語られる事は少ないように思うが、書記官や刑務官と
いった人達がいる事も知った。
さらに、肝心の裁かれる立場である被告人がおり、後ろには民間人
(主には被告人の関係者または報道関係者など)がいる。
刑に対して、「悪い事をしたんだから極刑は当然」と論ずる人もいる
だろうし、その反対意見を持つ人もいるだろう、と思う。
しかし、裁判官(員)の立場としては、"法令に従い公平誠実"に
判断する事が求められる。(と言うか法で定められている)
今回の事件は、犯罪事実自体は認めている、所謂自白事件であり、
主な争点は量刑にあった。(正確にはちょっと別の要素を含むが)
さすがに弁舌のプロ達が集うだけあり、公判を一見するだけでは、
検察官の主張も、弁護士の主張もスジは通っているように聞こえる
ものである。
とは言え、様々な情報が入ってくる内に、疑問点も多々湧いてきた。
そこは、途中、被告人/証人への質問などを挟んだりして情報を
揃えていった。
元々、法律の素人である自分が言うのもなんだが、
自分は割と、客観的にわかる事実や証拠を重視していたつもりで、
どちらかと言えば、検察官に近い目線での質問が多くなりがちで
あったと思う。
対して、別の裁判員の質問で、犯行当時の心情に関して、やさしい
口調ではあるが率直に尋ねる人なんかは、裁判員の鏡だ!なんて
思ったりした。
(ちょっと意味が伝わりにくいと思うが、ようは、一般人からみた
「常識的に○○と思う」と言う事を被告がどう思っているかが、
うまく聞き出せた良い質問だった訳である。)
その辺りが、2つ目の感想である"人が人を裁く"と言う点の魅力を
感じた部分なのかもしれない。
そうこうしている内に、長いようで短い数日間の公判は終わった。
そこからは評議となる訳だが、
結論を出す事は、そうそう簡単な話ではない事を実感した。
(モロ守秘義務にあたる部分なので中身は割愛させていただく)
が、最終的には、「罪を憎んで人を憎まず」と言う言葉があるように、
それがしっくりくるコタエに辿り着けたと思う。
判決の際、もし自分なら、頭が真っ白になり立っているのもやっと・・・に
なりそうな空気の重い時間であるが、被告人の表情は特に変わらず、
裁判長が読み上げる言葉をきちんと聞いてくれていたと思う。
また、判決の後に「裁判体から一言」としてエールとも言えるメッセージを
送ったが、そこで小さく頷いてくれた被告には、刑に服した後、きっちり
更生してくれると信じたい。
どうでも良い余談だが、裁判員を終えて、かの有名な「六法全書」
を立ち読みした。
読みだすと案外面白い、と言うか、よく出来ているなぁ・・・、と
感心させられる。さすがに本職でないので、読破はしてないけど。
最後に、裁判員と言うのは、なりたい人がなれるものではなく、
逆になりたくない人がなる場合もある。まさに運次第の制度と言える。
しかし、誰しもがなる可能性を秘めており、少なからず世の事件や
判例へ関心を向けるクセをつけておくのががベターであろう。
なお、裁判員制度のHPにリアルに近い動画があるので、興味を抱いた
方は一度見てみることをお勧めしたい。
