「贖罪」 湊 かなえ




娘を失った母親が言った言葉は少女達の背負う十字架となり負の連鎖を生む。


たった一文で紹介しましたが、今日この本を読んでよかったのかもしれない。

娘がいるわけでもなければ十字架の重さもわかるのもではありませんが、

私は自分が言い放った言葉が相手に与えてしまう影響について考えさせられました。


特に負の感情を込めた言葉は相手に強い拘束力を与えてしまうのではないでしょうか。

一時の感情に任せて放った言葉は、いつまでも相手の心に残ってしまい、

それは相手の人生を蝕んでしまうほどの枷として常に足元にまとわりつく・・・


きっと言い放った本人が忘れてしまっているような事だって、

いや、むしろそういったものの方が相手の心に深い傷を与えているのかもしれません。


人の時間は常に重なっている訳ではないので、相手の全ての時間を知る事は出来ない。

ならば知らないところで相手が泣いたり悩んだりしている事だって気が付かない・・・

だから言い放った本人は言葉を軽くとらえてしまうのだと思います。


遠く離れていればなおのことです。



時には優しい言葉ですら相手には間違って伝わっているかもしれない。

逆に相手に言われた言葉を捉え違えてしまっているかもしれない。


すれ違う言葉を紡ぎ合わせる時間こそが大事なのかもしれません。





バルバソ