日記は小学生の時母親に読まれて以来書いたことがなかった。
その後書こうと思い立ったこともあったが、続いた試しもない。

そもそもそうした個人的なことを綴るということは
本来他人に見せるものではないと思っているのだが、
莫大なネットのフィールドで匿名で書けるのであれば
さしてあまり変わらないのではと思い、ブログを使うことにした。

写真も取らない、日記も書かない、手紙も書かない、貰わない。
何も記録に残らない。それが少しずつ怖くなった。
ただでさえ歳を取るにつれ物忘れが激しくなる一方なのに、
大切な記憶が曖昧にしか残らないのではないか。
それはそれでと思うこともあるが、少々悲しい気がしてならない。

23歳に至るまで、モノを取っておくという選択肢がなく、
ほとんど捨てて来た。人から貰ったものも、自分で作ったものも。
物持ちは良い方だと思う。ただ、「必要のないもの」は残らなかった。
物凄く機械的だなと自分でも思うことはあったが、
家族の習慣だったので当たり前のこととして受け入れていた。

が、23歳にしてその価値観に変化が起きた。
ありきたりな理由なので非常に照れ臭いのだが、恋人が出来たのである。
その人と一緒に過ごすことにより、その人のことを想うことにより、
記憶というものに執着心を抱くようになった。
忘れたくない、忘れて欲しくない。
この関係がうまくいこうとも、そうでなくとも。

こんなことがきっかけになるとは思ってもみなかった。
愛しい人がこんなにも自分に影響を与えるとは知らなかった。
今まで見てきた映画や小説などの意味合いが少しずつ違ってくる。
あぁ、そうだったのか、と。
今までこうした感情がすっぽり抜けていたのか、と。