31-27 治療の方法に関する記述である。正しいのはどれか。2つ選べ。
(1)自己血輸血の副作用として、GVHD(移植片対宿主反応)がある。
(2)アルブミン製剤の投与は、成分輸血にあたる。
(3)15 歳未満のドナーからの脳死移植は、禁止されている。
(4)骨髄移植は、臓器移植に含まれない。
(5)腹膜透析は、血液浄化療法である。
↓解答↓
×(1)自己血輸血の副作用として、GVHD(移植片対宿主反応)はない。
輸血により、供血者のリンパ球が受血者の 体内で増殖し、宿主(受血者)の組織を攻撃することを輸血後移植片対宿主病(PT-GVHD、post transfusion-GVHD)という。一般には、供血者のリンパ球は少数派なので受血者の体内で増殖すること はまれである。しかし、供血者が近親者の場合は、HLA(ヒト白血球抗原)が類似していることがあるので、受血者の体内で生き残り PT-GVHD を起こす可能性が高くなる。
自己輸血では、保存していた自分の血液を輸血するので PT-GVHD は起きない。
正解(2)アルブミン製剤の投与は、成分輸血にあたる。
輸血は、出血や白血病などが原因で血液の血球成分(赤血球、白血球、血小板)が減少したときに、健康な供血者からの血液成分を静脈内に投与する治療法である。
全血輸血とは、供血者から提供された 血液を全部輸血する方法である。成分輸血とは、全血を遠心分離器で分離して「赤血球製剤」、「血小板 製剤」、「血漿製剤」を製造して輸血する方法である。受血者に必要な成分だけを取り出して輸血を行うので、輸血の副作用を軽減することができる。
×(3)15歳未満のドナーからの脳死移植は、家族の承諾があれば臓器提供できる。
2010 年の改正臓器移植法により、生前に書面で臓器を提供する意思を表示している場合に加え、本人 の臓器提供の意思が不明な場合も、家族の承諾があれば臓器提供できるようになった。これにより、15歳未満の人からの脳死後の臓器提供も可能になった。
×(4)骨髄移植は、臓器移植に含まれる。
正解(5)腹膜透析は、血液浄化療法である。 血液浄化療法とは、血液の量的・質的異常を、主として体外循環技術をもちいて、拡散、濾過、吸着により是正する治療法である。腎不全患者に対して行われる血液透析と腹膜透析は、拡散と濾過の原理による血液浄化療法の一種である。