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エイテツ学研究所

【ヒザ下長男の特徴】

◯35~40才ぐらいの男性。

◯上はTシャツ、下は何も履いていない。

◯足の裏から木製の棒でつないでいる。

◯太ももが異常に発達している。

◯体毛が濃いめである。

◯ソフトモヒカンである。



昨夜の夢の事。



昼下がりに友人と二人で何てない話をいていた。



気が付くと目の前に人だかりが出来ていて、その人だかりの中から二本の角材が伸びていた。



その二本の角材を目で追って行くと、一人の男がいた。



その角材は、男の足の裏とつながれていて、高さでいうと4、5メートルはあった。



なぜ角材で足をつないでいるのかは分からないが、男はその人だかりに何も気にも止めない様子でたたずんでいた。



我々は彼を見た時に、何かの企画でも罰ゲームでも何でもなく、日常的に角材を足につないでいるであろう事が分かった。



その理由として、角材は所々痛まないようにテーピングで補強がしっかりとされている。



また、角材でつないだ生活が長年続いているのか、異常なほど大腿筋が発達していた。



我々は相談の結果、その男を「膝下長男(ヒザシタナガオ)」と命名する事にした。



下に何も履いていないその男に、我々は好奇心をかき立てられ、二人でハシャギながらその男の股下へと移動した。



しかし、照明の関係なのか、あるいは体毛が濃いせいか、全く見えない。



我々はガッカリしながらも、そのうちなぜその男は何も履いていないのか、話し合いになった。



「長さに合うズボンがなかった」、「ズボンを履く前につなげてしまったせいで、履くにはけなかった」、「むしろ多くの人に見せるためで、そのために高い位置にいるのではないか」等、色々な意見が飛び交った。



そのうち彼の日常生活における疑問へと話は移り変わった。



「ソフトモヒカンにしているという事は他人の目を一応、気にしているのではないか。」



「角材の補強は一人では出来ないはずなので、おそらくサポート役の人間がいるのではないか。」



「移動手段は、やはり徒歩に限られるのか。」



話ながら彼を見ていると、彼のヒザ下が異常に長い事に気が付いた。



その瞬間、我々はハッとした。



元々の疑問であった、なぜその男は足に角材でつないでいるのか答えが分かった様な気がした。



おそらく彼は元々、人一倍ヒザ下が長い事にとても優越感を感じていたのだろう。



そして、その自尊心の強さから欲に拍車がかかり、更に長く見せようと角材でつないでいるのだ。



人々を見下す形が傲慢さとつながり、その結果、不自由な日常生活を強いられる事と、人々に奇異の眼差しで見られている事に、彼は気が付いていないのだと。



しかし、もう一方の考えとしては、これは傲慢さではなく、高見を望む「挑戦」という形であるのかもしれない。



その挑戦のために、不自由な生活であろうと、周りに奇異な目で見られる事も、あえて捨てる覚悟でいるのかもしれない。



もしそうであっても彼はきっと孤独であろう。



しかし、どちらにしても、これを一生続ける事が出来れば、彼は幸せなんだと思う。



もしこれを一生続けられなかった場合、彼は盲目だった己に対して自責の念が襲いかかるだろう。



人の欲と挑戦は表裏一体であり、良くも悪くも人を盲目にし、孤独へと導いていくものなのだろうと。



急角度で、哲学的な話になった自分たちに嫌気がさし、「我々には到底マネは出来ない」という事でこの話を無理矢理終わらした。








そしてどうでも良くなった我々は、駅のホームを後にした。