冒頭のドイツの空港で、思い出の曲、ノルウェイの森が聴こえ、軽い目眩を起こし、スチュワーデスと些細な会話のやり取りを交わすシーン。
「僕は顔を上げて北海の上空に浮かんだ暗い雲を眺め、自分がこれまでの人生の過程で失ってきた多くのもののことを考えた。失われた時間、死にあるいは去っていった人々、もう戻ることのない想い。」
この情緒性を抱えた主人公の過去の日々を綴っているのがノルウェイの森です。ノルウェイの森は、冒頭でその日々をくぐり抜けてきた主人公を描き、そこでもなお、目眩を起こすくらいの衝動が残っているという描写から始まる物語です。