2X00年 1月17日
同じ空間、同じ景色は続いていた。
星の位置が変わることはあるが、この闇があけることは無い。
この宇宙船は、2部屋しかない。
1つはコックピット
もう1つは、キッチンとリビングを兼ねた部屋だ。
トイレとシャワールームは、リビングにある、はしごを降りるとある。
武史は、コーヒーをいれ、ソファに座っている、春子に渡す。
「ありがとう」
一口すすると、テーブルに置き、視線を落とした。
武史はテーブルを挟み、春子の迎えに座った。
「ごめんね」
春子がつぶやく。
「私が、こんな調子だと、武史もまいっちゃうよね」
力なく微笑む顔は、無理やり作られていた。
「春子。聴いて欲しいことがあるんだ」
なるべく優しい声で言った。
「いい話じゃなさそうね」
「声が優しいんだもん」
さっきよりも、自然な微笑だった。
「うん」
武史は、春子に説明した。
説明の内容
地球を出たときから、宇宙船は政府のレイダーに捕らえられていること。
目的地周辺で、強い電磁波を出し、政府のレーダーをごまかし、その隙に着陸すること。
電磁波の範囲は狭く、1つ1つの星を探せば見つかってしまうこと。
そして最後に・・
死んでくれと頼んだ。