友だちの家で一緒に試験勉強をした。午後11時ごろ、帰り路を通ったときのことである。それは車一台分の幅しかなく、しかも側を小川が流れている。本道からはやや奥まったところの右側には苔むした階段と、左側には寂れた小さな公園があってしょぼい街灯がかかっている。その端のほうには二つのブランコが、こんな夜遅い時間帯に揺れている。というのも、ふたりの女子高校生が座っているのだった。この子たちヤバそうだな、と思いつつ自分のほうへ二つの視線が刺さった
彼女たちの目は柔らかく微笑んでいた。だが、同じクラスの生徒ではなさそうであった。階段のうえのほうには墓地があるので、怖くないのだろうかと案じつつ帰路を急いだ
翌朝、呂太は友だちに呼びとめられた。そして、二人の美少女が無理心中を図って亡くなったと知らされた。しかも遺書を残して。学校では大騒ぎになっている。彼はもしかしたら昨夜の二人だろうか、と心配になって何組の子か訊いた。となりのクラスとのことで、ようやく面立ちなどを思いだした。やはりブランコの二人だと
学校は翌日は臨時休校となり、保護者説明会などが開かれた。そしてうわさ話が広がっている。二人は呂太を好きなのに彼がなんの関心も示さないようだったので、悲観して世を去ったというものだった
呂太は困惑しながらも、冷静になって考えている。彼女たちと話などができなかったことを、少し悔やんでいる。あのときの二人のまなざしは、すごく優しそうだった
ただ警察の捜査では不思議なことに、二人の亡くなった場所や死因などの特定には困難を極めているとのことである
呂太はあのブランコでの微笑みのときには、すでに亡魂だったのではとも思った。心のなかで黙祷を捧げた
◾️憩いの準動画
夜の公園
◾️出典:Yahoo画像
◾️お楽しみいただきまして、ありがとうございました。次回作は暇がかかるかもしれません