修復ということ
コツが住み着くドアの鍵
アンティークドアの鍵
鍵とボックスはセットのはず
たいていは鍵は無く
鍵穴とボックスだけが
ドアと一緒で離れ離れに
されてここへくる
きっと
どこかにはあると
いつかの出逢いを
待っていると
ドアは次の場所へ
行ってしまうから
鍵をつくる
大きさも
長さも
カタチもわからない鍵
手がかりは
残されている
ボックスのなか
開けながら構造を知る
4枚の真鍮のプレート
押したり
避けたり
ちょっと押したり
押さなかったり
それぞれのプレートに合わせた
刻みが必要
さらに
大きな鍵が無いため
溶接で長さを足し
厚みを出し
整形して
鍵穴ギリギリに入る
大きさまで製作
現物合わせしながら
鍵の溝を製作
微調整
微調整
微調整の
繰り返し
4枚が上手にずれ合うとき
とても綺麗な音楽を弾いてるように
静かに一本抜ける道をつくり
金物の間をすり抜ける
ストレスのない
抜け道は
とても心地よい
アンティークの鍵の素敵なところ
あとから同じ鍵を製作しても
開かないことが多い
ヒトが扱う鍵と穴だから
クセが積み重なると
唯一になる
家族しかわからない
自分しかわからない
鍵の癖が
ほんとうにたった一つの鍵になる
製作するときも
癖を知り
カタチを想像して
長い年月経った鍵を想像して
製作する
少し歪なキーホールに合わせて
少し歪に
錆が重なり合ったような
鍵ボックスに合わせて
製作
エイジング加工して
仕上げる
鍵を開ける音
鍵を閉める音
コツと一緒に聴ける
特別な
音
ここからの
アタラシイ時間に
またアタラシイ
音に変わっていって
くれたら
いいな
もしかしたら
ずっと昔に聴いた音と
同じ音がするのかも
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