いよいよウディ・アレンの「夫たち、妻たち」みたいな展開になってきましたね。破綻した灯里(真木よう子)と諒(綾野剛)の関係を、光生(瑛太)が修復させようとします。
冒頭で、諒の過去が明かされるわけですが、高校時代に駆け落ちしてその恋は実らず…というかなりハードな体験でした。(ちなみに諒は東京出身のようです。)
諒「僕は(中略)だから結婚しようって、でもシオミさん、『私、上原くんじゃ足りないの、足りないの』って…」
うーん、この「足りないの」という言葉が諒のトラウマになってしまったんでしょうか? それはそれでまぁ納得なんですけど、諒にはあくまで“理由なき”浮気男でいてほしかったな。原因も過去もないんだけれど、複数の女性を求められずにはいられない。だからこそ、救いも改善策もないというのがリアルかなと思っていたんですけど、諒の場合、一応、原因はあったんだ…。
だからこそ、灯里から別れを切り出されても別れないし、もう他の女性とも寝ない。彼なりに必死で、今度こそ自分を変えようとしている。
つまり諒と灯里(父親事故死、母親との確執深し)は、かなりハードで非凡な過去を背負う者同士だったわけです。ふたりがもう一度やり直すには、トラウマを乗り越えられるのかということがポイントになりそう。
一方、光生と結夏(尾野真千子)の元夫婦。結夏の年下の恋人候補・淳之介(窪田正孝)の登場に、敵愾心をむき出しにする光生。「熱があるかどうかっていうのはプライバシーの問題だから」とか言動がおかしかった。
結夏「(淳之介に)あなたはそのままでいいの。素直でまっすぐに生きているほうが周りを幸せにするんだから。頭が良いとか知識があるとかより、人を元気にできるほうがよっぽど価値がある」
光生「そうだよ、その通りだよ。その方が価値あるよ」
というやりとりがあって、結局、「彼、良いんじゃないかな。その相手として。すごくお似合いですよ」と結夏に告げ、理解を見せる。
そして、ラスト、光生たちの部屋に灯里と諒が来て、「今度、浮気したら…切っていいよ」「じゃ、今切っていい?」「い、いいよ」「じゃ切る!」という凄絶なやりとりが繰り広げられた挙句、妻たちは結婚生活にギブアップする。
結夏「あんたたち男が子供だからだよ。馬鹿馬鹿しい。夫婦なんて茶番だよ」
灯里「うん。結婚なんてするから、こんなことになるのよ。ひとりで生きて、ひとりで暮らせばいいの…みんなひとりなんだよ」
光生「ダメだよ…(中略)そういうこと言ってたら、ここにいる全員、誰も幸せになれないでしょ」
ここに来て、結夏からも灯里からも“結婚相手として”全否定されてきた光生が、結婚というものに対して一番前向きになっているのが面白い。「それじゃ社会が成り立たないでしょ」とか、最も常識的なことを訴えてきている。変人ゆえのパワーというか、他人との距離感を計れない、空気を読めないからこそ、状況を突破していく何かが、光生にはあるのかもしれない。
光生の両親が不在の理由も実は明かされていないわけで、そこにも何か光生が神経質な性格になったトラウマがあり、これから明かされていくのかもしれないですね。でも、そうなると、“富士山を見て育ったから細かいことを気にしない”結夏以外には、みんな家庭環境・恋愛体験のトラウマがあるわけで、ちょっとトゥー・マッチ感が出てきてしまう。本作がウディ・アレン風の都会的ラブ・コメディを目指しているのなら、重すぎる過去設定は避けてほしかったな。だって、登場人物の過去って便利に使えちゃうじゃないですか、言い訳として。
テレ東金曜深夜の「まほろ番外地」も、同じ瑛太くん主演で面白く見ているんですが、あの作品も、主人公のふたりを始め、登場人物のほとんどにトラウマ的過去がある(原作どおりなんですけど)。
事実、人間は過去から逃れられないし、過去を忘れて生きてもいけないけれど、恋愛の細かい機微を描いて笑わせていく場合は、シリアスすぎる過去は逆に作用するのではと思いますね。
90年前後に出てきた「抱きしめたい!」等のトレンディドラマは、主人公の男女たちの多くが育った過程や過去に縛られてはいなかったんですよね。実家はど田舎だとかそういう設定はあるにしても、過去の描き方がカラっとしていて。
あと、細かいツッコミなんですけど、冒頭で諒と年上の彼女(遊井亮子)が落ち合うのが「caféガスト」じゃないですか。店員がコーヒー運んでくるんですけど、ガストならドリンクバーだから運んで来ないはずですよね? これまでTSUTAYAの延滞金とか細かいルールをリアルに描いて「あるある」って思わせてきた本作だから、そこは現実に即してドリンクバーのコーヒーを取りに行ってほしかったな、ふたりに。こんなに悲しい気持ちのときで落ち込んでそれどころじゃないんだけど、コーヒー自分で煎れなきゃいけない、みたいな…。まぁ、いろいろロケの事情とかあったんでしょうけど。ちなみに店員さんがコーヒー持ってきてくれるのは、デニーズかな。
中盤に入って、今後の展開が読めなくなってきたのは面白いところです。次週も期待。
冒頭で、諒の過去が明かされるわけですが、高校時代に駆け落ちしてその恋は実らず…というかなりハードな体験でした。(ちなみに諒は東京出身のようです。)
諒「僕は(中略)だから結婚しようって、でもシオミさん、『私、上原くんじゃ足りないの、足りないの』って…」
うーん、この「足りないの」という言葉が諒のトラウマになってしまったんでしょうか? それはそれでまぁ納得なんですけど、諒にはあくまで“理由なき”浮気男でいてほしかったな。原因も過去もないんだけれど、複数の女性を求められずにはいられない。だからこそ、救いも改善策もないというのがリアルかなと思っていたんですけど、諒の場合、一応、原因はあったんだ…。
だからこそ、灯里から別れを切り出されても別れないし、もう他の女性とも寝ない。彼なりに必死で、今度こそ自分を変えようとしている。
つまり諒と灯里(父親事故死、母親との確執深し)は、かなりハードで非凡な過去を背負う者同士だったわけです。ふたりがもう一度やり直すには、トラウマを乗り越えられるのかということがポイントになりそう。
一方、光生と結夏(尾野真千子)の元夫婦。結夏の年下の恋人候補・淳之介(窪田正孝)の登場に、敵愾心をむき出しにする光生。「熱があるかどうかっていうのはプライバシーの問題だから」とか言動がおかしかった。
結夏「(淳之介に)あなたはそのままでいいの。素直でまっすぐに生きているほうが周りを幸せにするんだから。頭が良いとか知識があるとかより、人を元気にできるほうがよっぽど価値がある」
光生「そうだよ、その通りだよ。その方が価値あるよ」
というやりとりがあって、結局、「彼、良いんじゃないかな。その相手として。すごくお似合いですよ」と結夏に告げ、理解を見せる。
そして、ラスト、光生たちの部屋に灯里と諒が来て、「今度、浮気したら…切っていいよ」「じゃ、今切っていい?」「い、いいよ」「じゃ切る!」という凄絶なやりとりが繰り広げられた挙句、妻たちは結婚生活にギブアップする。
結夏「あんたたち男が子供だからだよ。馬鹿馬鹿しい。夫婦なんて茶番だよ」
灯里「うん。結婚なんてするから、こんなことになるのよ。ひとりで生きて、ひとりで暮らせばいいの…みんなひとりなんだよ」
光生「ダメだよ…(中略)そういうこと言ってたら、ここにいる全員、誰も幸せになれないでしょ」
ここに来て、結夏からも灯里からも“結婚相手として”全否定されてきた光生が、結婚というものに対して一番前向きになっているのが面白い。「それじゃ社会が成り立たないでしょ」とか、最も常識的なことを訴えてきている。変人ゆえのパワーというか、他人との距離感を計れない、空気を読めないからこそ、状況を突破していく何かが、光生にはあるのかもしれない。
光生の両親が不在の理由も実は明かされていないわけで、そこにも何か光生が神経質な性格になったトラウマがあり、これから明かされていくのかもしれないですね。でも、そうなると、“富士山を見て育ったから細かいことを気にしない”結夏以外には、みんな家庭環境・恋愛体験のトラウマがあるわけで、ちょっとトゥー・マッチ感が出てきてしまう。本作がウディ・アレン風の都会的ラブ・コメディを目指しているのなら、重すぎる過去設定は避けてほしかったな。だって、登場人物の過去って便利に使えちゃうじゃないですか、言い訳として。
テレ東金曜深夜の「まほろ番外地」も、同じ瑛太くん主演で面白く見ているんですが、あの作品も、主人公のふたりを始め、登場人物のほとんどにトラウマ的過去がある(原作どおりなんですけど)。
事実、人間は過去から逃れられないし、過去を忘れて生きてもいけないけれど、恋愛の細かい機微を描いて笑わせていく場合は、シリアスすぎる過去は逆に作用するのではと思いますね。
90年前後に出てきた「抱きしめたい!」等のトレンディドラマは、主人公の男女たちの多くが育った過程や過去に縛られてはいなかったんですよね。実家はど田舎だとかそういう設定はあるにしても、過去の描き方がカラっとしていて。
あと、細かいツッコミなんですけど、冒頭で諒と年上の彼女(遊井亮子)が落ち合うのが「caféガスト」じゃないですか。店員がコーヒー運んでくるんですけど、ガストならドリンクバーだから運んで来ないはずですよね? これまでTSUTAYAの延滞金とか細かいルールをリアルに描いて「あるある」って思わせてきた本作だから、そこは現実に即してドリンクバーのコーヒーを取りに行ってほしかったな、ふたりに。こんなに悲しい気持ちのときで落ち込んでそれどころじゃないんだけど、コーヒー自分で煎れなきゃいけない、みたいな…。まぁ、いろいろロケの事情とかあったんでしょうけど。ちなみに店員さんがコーヒー持ってきてくれるのは、デニーズかな。
中盤に入って、今後の展開が読めなくなってきたのは面白いところです。次週も期待。