学会では、
進行乳がんにおける一次乳房再建の検討
というお題で、早期乳がんと進行乳がんの再建術式と合併症と再発について発表しました。

当センターでの8年間で一次乳房再建(乳がん手術と同時の再建)を行ったのは

早期乳がん(Stage0.Ⅰ.Ⅱ) 208例
進行乳がん(StageⅢ.Ⅳ)   18例でした。

再建術式は
早期乳がんでは人工物が多く67%で
進行乳がんでは自家組織が多く81%
でした。

合併症率は
早期乳がん    9%
進行乳がん 14.3%
と進行乳がんで多かったです。

再発は
早期乳がん       2.9%(局所1.4%遠隔1.4%)
StageⅢ乳がん15.4%(局所0%遠隔15.4%)
と進行乳がんで再発率が高いのですが、進行乳がんでの遠隔転移は手術とはあまり関係ありません。今回、進行乳がんで局所再発がなかったことが大事かなと思います。

形成外科のガイドラインでは、進行乳がんの乳房一次再建の局所再発率や合併症が非再建群と比べて有意差がなく安全だとうたわれています。

しかし、今回の結果からは、進行乳がんにおいて乳房一次再建を行う場合には合併症について充分に説明し、ご理解をいただいた上で、なるべく自家組織でおこなうべきという結論になりました。  

ちなみに人工物は、早期乳がんにしか保険適応にならなかったので、今では進行乳がんでは自家組織再建しかできなくなりました。