The Boy in the Striped Pajamas」を読了しました。これはアイルランド人の著者John Boyneが2006年に発表した児童書で、ホロコーストを主題にした寓話です。New York Timesベストセラーの1位に選ばれたこともあり、国際的に高い評価を受けています。

主人公Brunoは9歳の少年で、以前はベルリンに住んでいましたが、父の仕事の都合で、12歳の姉と母と共に片田舎に引っ越す事になります。父はユダヤ人強制収容所を監督する司令官ですが、Brunoは父の仕事をよく理解していませんでした。

引越し先には同年齢の遊び相手がおらず、Brunoは退屈な日々を過ごしていましたが、自宅から離れた所に奇妙な施設を発見し、そこで、縞模様のパジャマを着た少年Shmuelと友達になります。偶然にも、BrunoとShmuelは誕生日も年齢も同じでした。

前半は、ユダヤ人迫害や収容所の実態を知らない9歳の少年Brunoの視点で物語が描かれているので、大人の私が読んでも面白くありませんでした。さらに、英語の文章も子供が書くような妙に冗長(稚拙)な文体で、正直言って期待はずれでした。


でも、本作品は第15章から面白くなります。

強制収容所の近くに住むようになって、Brunoの母はシェリー酒(精神安定剤)を飲むことが多く、昼寝の時間も長くなり、夫と口論する機会が増えました。ついに彼女は、夫を置いてベルリンに戻ることになりました。

ベルリンに戻る前日、BrunoはShmuelと同じ縞模様のパジャマを着て、彼がいる強制収容所に紛れ込みます。Shmuelと別れる前に、彼が住んでいる施設(収容所)の中を見てみたいという気持ちと、直前に行方不明になったShmuelの父親を探してあげるのが目的だったのですが・・・

ハッピーエンドになるはずが無いことは分かっていましたが、静かな結末が不気味でした。ユダヤ人虐殺の恐ろしさを知らない9歳児が何も理解することなく悲劇に巻き込まれる話です。残されたBrunoの家族も、暗闇の中に放り込まれたような感じです。

最初は幼稚な英語表現が散見され、大人が読むに値しない本だと思っていましたが、最後まで読んで良かったです。総単語数は46778ワードなので、1週間で読める本です。ATOS Book Levelは5.8です。

おまけ:
Shmuelはポーランド人です。ちなみに、アメリカではThe Boy in the Striped Pajamasですが、原作はThe Boy in the Striped Pyjamasのようです。

 

本作品は1990年にニューベリー賞を受賞しました。