DMM英会話のDAILY NEWSというサイトに「Report: UK Faces 'Crisis' in Language Learning」という教材がありました。最初にこの表題を見たとき、イギリスに移民が押し寄せて、英語を話せない人が増えているのではないかと思ったのですが。わたしの予想は間違っていました。

 

実は、2018年に15~30歳の若者を対象にした調査で、読み書きができる言語はひとつだけと答えたイギリス人は全体の68%だったそうです。ということは、32%は二つ以上の言語で読み書きができることになります。

 

それがなぜ危機なの?

英語は世界の共通語ですから、英語さえできれば問題ないでしょ?

 

ヨーロッパでは若者の80%が2つ以上の言語を使えるそうです。特にデンマークではこの割合が99%だそうです。外国語が使えるのは当たり前で、珍しくも何ともないという状況です。さて、これは本当に良いことなのでしょうか?

 

日本人は英語が話せないと批判されて久しいですが、デンマークは日本より圧倒的に学力が高いかといえば、決してそうではありません。2018年に実施されたProgramme for International Student Assessment(PISA)という「生徒の学習到達度調査」によると、

国名: 読解力、数学、科学
Japan ....... 15位、6位、5位
Denmark . 18位、13位、25位

 

3項目すべてにおいて、デンマークより日本が上回っていますね。1日は24時間です。若者の学習時間には限りがあります。2つ以上の言語を習得しようとすれば、当然「時間」が必要です。言語学習に多くの時間を割くと、他のことに当てる時間が減ります。

 

ちなみに、2018年の国際特許出願件数ランキングで、日本は3位(49,708件)ですがデンマークは18位(1,443件)です。日本はデンマークの30倍以上の特許を出願しています。数だけでなく質も重要ですけど。

 

日本のように海に囲まれた国と、ヨーロッパ諸国の事情を単純比較することはできませんし、日本のPISAスコアが高いのは必ずしも手放しで喜べることではないかもしれません。

 

ただし、グローバル人材の育成という名目で英語学習熱を煽る人の意見をそのまま受け入れるのが良いかどうか、わたしはやや懐疑的です。それはともかく、このような自分の意見を英語でスラスラ話せると理想的ですが(苦笑)。