
《一同はついに凄腕の操舵士と謳われる男、ラカムを見つける。しかし、彼はジータの誘いに、ただ一言、空は捨てた、と答えるのだった》
ラカム「ーーそういうわけだ。悪ぃが操舵士なら他をあたるんだな」
カタリナ「い、いや、しかし……何故なんだ?街の者に聞いたが、君は幼い頃から、艇と空に親しんできたんだろう?」
ビィ「そ、そうだぜ!それにアンタも言ってたじゃねぇか!ジータも聞いたよな?騎空艇の操縦には、特別な技術が必要なんだろ?それを身に付けてるのに、なんで……」
ラカム「ったく……ギャアギャアと、うるせぇのな……いいか?俺は、空が俺を捨てたから、俺も空を捨てたんだ……そんだけの話さ」
カタリナ「空が……?」
ラカム「ああ、てめぇらも見たろ?あそこにあった騎空艇をよ。あれは、昔からあそこにある持ち主の居ない難破船だったんだ。俺は、そいつを幼い頃から、こつこつと独学で修理し続けた……また空に飛ばせてやろうってな」
ビィ「修理してた?でも、ありゃぁまるで墜落して放置されたって感じだったぜ?」
ラカム「そりゃそうだ。あいつは俺を乗せて、真っ逆さまに墜落したんだからな」
ルリア「墜落……じゃあ、貴方はそれで……?」
ラカム「ああ……裏切られた思いで、いっぱいだったよ。修理には詳しい奴の手も借りた。操縦の腕だって磨いてきた……準備は全て整っていたはずだ。それでも、あいつは……グランサイファーは墜ちたんだ。俺が抱いていた想いも何も、ひっくるめてな」
ビィ「それは、その……天気が悪かったとか……なぁ?ジータ?」
ジータ「ビィの言うとおりだ」
ラカム「このポート・ブリーズには、年中いい風が吹いてるよ。島の守り神サマの、おかげでな。この島に限っちゃ、風が悪くて墜落するってことは、ありえねぇんだ。さぁ、この話はお終いだ。さっきの帝国の話を、街の連中に知らせに行こうぜ。知っちまった以上、放っておくわけにもいかねぇからな」
ビィ「お!ようやく街が見えてきたな!」
ラカム「ん?そうか?んじゃ、後は任せたぜ。俺は、この辺で隠れ家に戻るからよ」
カタリナ「待て待てまて!なぜ隠れ家に戻るんだ?街の者と帝国を迎え撃たないのか?」
ラカム「事情を知っちまった以上、それを伝えるための手伝いくらいはするさ。けどな……俺が守るのはあくまで、あの騎空艇……グランサイファーだけだ」
カタリナ「貴様……人命より艇を優先するというのか……」
ラカム「俺は、俺の大切なもののためにしか戦う気はねぇってだけさ。帝国相手となりゃ、命がけだしな。てめぇらも、お人好しはたいがいにしねぇと、ロクでもないことで命を落とすぜ?」
カタリナ「救える命が……守れる者が目の前にいるというのに、放ってなどおけるものか!!」
ルリア「カ、カタリナ、落ち着いて……」
ラカム「そうかい……んじゃぁな、せいぜい後悔だけはするんじゃねぇぞ」
《そう言い残すと、ラカムはジータの前から、姿を消した》
カタリナ「後悔などするはずが……できるはずがあるものか……私には、もう……」
ビィ「とにかく急ごうぜ!街が見えたとはいえ、まだ魔物はうようよ居るんだからよ!」