世間の目を気にして生きるのが嫌だった。
宮川弘子は原宿のスクランブル交差点の横断歩道を渡りながらそう感じていた。皆は流れに任せて自由に動いている。その人たちが操られていると感じ取っていた。会社に向かうもの、学生として大学に向かうもの、遊びに向かいギャルらが騒ぎながら歩いている。
弘子は身寄りがいなく、特に何も取り柄もなく大学生ながらも勉強嫌い。女性としては中の上な平凡な顔立ちで中肉中背。本当のごく平凡。
しかしながら、スポーツは長年陸上の選手として活躍していたが周りの目によって高校を期に諦めている。友達もいなければ恋人もいない。タイプも「普通に優しい人」という女性としては魅力的とは程遠いのだ。
はやりの音楽もスポーツもいまいち割りあわない。何をやってもやる気が起きない。そんな一般の女性からしてみたら華やかじゃない人生を送っていくのだろう。そう感じてならない。
近くして目的の所に着けば建物に入っていき三階まで一気に駆け上がる。足には自信があり毎日のトレーニングが欠かせない。弘子が求めていたものがある店は二次元にでも飛び込んだような場所、いわゆるコスプレショップだ。弘子の唯一の趣味は変装、その新しい服を求めてやってきたのだ。
「おじさん。こんにちは」
弘子は入ってすぐに店長に挨拶をする。己の好きなものがあると顔が変わるらしい分かりやすいタイプなのも彼女の特徴だ。
「弘ちゃん、今日は何が欲しいの~」
彼女を弘ちゃんと呼ぶのは店長である村田敬一郎。何故彼女を「ひろしちゃん」と男のような呼び方をするのかというと敬一郎は女装家であるのだ。彼女を一目見て気に入りてっきり男だと勘違いする人で弘子は嫌な気がしていたが最初まで。今はよき相談相手である。身寄りのない弘子を娘のように接したり息子として接したりしているのだ。
「今日は強そうなの」
「弘ちゃんに合うコスプレ。あるわよ」
敬一郎はうきうきするように探しだした。弘子は周りを見ながら探す。スカートだったりボーイッシュのコスプレもたくさんある。弘子は滅多にスカートを履かないが敬一郎から似合うから着なさいと何着か持っているがあまり着ないのだ。
「弘ちゃん、あったわよ。これ可愛いし強そうよ~」
敬一郎が取り出したのはいかにも強そうだが少し短いスカートな女性ファイターの衣装だ。弘子はあまり気に入らないスカートだが、色合いや質感がよく一気に気に入ったようだ。
「おじさん、これください」
「ほんとに?試着していなさい、お金は後でいいわよ!」
敬一郎は目を輝かせて言い、弘子を試着室に向かわせレジに向かっていった。弘子は敬一郎の嬉しそうな表情が好きでいつも即買いするが心が暖まる気持ちになるので毎回買っている。試着室に入った弘子は服を脱ぎそのコスプレを慣れたように着てみた。弘子はうっとりしていた。ぴったりで弘子が気に入る形ですっかり気に入り服を畳み敬一郎の所に行こうとドアを開ければ目の前に知らない男がいた。
「ぎゃー!」
「うわっ!」
弘子はその男に回し蹴りを食らわせた。
「弘ちゃん?どうしたの、大きな声出して・・・・・・あらら、伸びちゃって」
男は弘子の強烈の回し蹴りに顔面をくらいKOになっていた。
「・・・・・・で、弘ちゃんが彼に回し蹴りをしたと」
「・・・・・・はい」
男は敬一郎からアイスノンをもらい頬にあて頷いた。
「・・・・・・すみませんでした」
「いやいや、僕もまさか人が入っているなんて思わなかったので・・・・・・」
弘子と男は気まずそうに俯いていた。
「ところでお兄さん、なんでここに?お名前は?」
「ああ、僕は平山探偵事務所の色気担当。新保類です」
二人に名刺を渡せば弘子にウインクしながら言う。弘子は思わす顔をそらした。
「ごめんね?弘ちゃん男慣れしてないのよ~、まあ私も男だけどね。私は村田敬一郎って言うの、私の事けいぼうって言ってね。あ、弘ちゃんもおじさんじゃなくていいのよ」
敬一郎はにこっと微笑み言えば、類もにこっと微笑みかけた。
「ところで・・・・・・この子は男の子ですか?」
弘子をみて類は言い、あろうことか胸を鷲掴みをした。
「っ!へ・・・・・・変態!」
弘子は顔を真っ赤っかにして平手打ちをした。
「弘ちゃんは、れっきとした女の子よ・・・・・・あなた弘ちゃんの胸鷲掴みなんて勇気あるわね」
「ご・・・・・・ごめんね?てっきり弘ちゃんなんていっているから男かと・・・・・・」
「きちんとあるわよ!意外に大きいのよ!」
「ちょっ、おじ・・・・・・けいぼう、そこまで言わなくても・・・・・・」
弘子は苦笑いしながら言い、
「改めて・・・・・・私は宮川弘子です・・・・・・一応大学生だけど行っていない」
「このこ身寄りないから私が親なの」
弘子を抱きしめながら敬一郎が言う。
「・・・・・・気に入ったよ。ひろちゃん」
「えっ?」
「実はここにきたのは、探偵の新メンバーを探しにきたんだよ。」
「でも、なんでこんなところに」
「面白いお店があって、そこの女の子と女装家がいいセンスしているって」
「・・・・・・わたしたちよね」
「みたいだね」
「それでなんだけど、二人ともコスプレ探偵と女装探偵で協力してほしいんだ!」
「はっ?」
弘子はきょとんとなった。類を見れば顔はイケメンで確かに色気がありこの人が探偵なんてなど思っていたが顔は真剣でいたが、男慣れしていないため不安があり綺麗な人よりかごく平凡の弘子でいいのか返事に戸惑っていた。
「いいんじゃない?面白そう」
敬一郎は弘子に言った。
「けいぼう!」
「友達だって欲しいでしょ?多分いい人達だろうし」
敬一郎の言葉も一理あるのだ。友達がいなくいつもここにきてはストレス発散していて面白くないと思っていたのだ。しばらく考えれば、類を見つめた。
「私・・・・・・協力できるならしたいです」
「ほんとに?やったー!」
類は弘子に抱きついてきた。
「ぎゃー!」
「弘ちゃん!ストップストップ!」
弘子は、暴走しそうになるのを必死に敬一郎は止めていた。
こうして、異色コンビとイケメン探偵軍団の不思議な生活が始まる。