去年のアカデミー賞、ゴールデングローブ賞で話題となった一作。
かの有名なアウシュビッツ収容所で最も長く所長を務めたヘスと、その家族が主人公である。
ヘス邸は収容所の隣にあった。
毎日銃声と人々の叫び声が聞こえ、人を燃やした煙が立ち込める空を見上げながら
その広い邸宅と広大な庭で ヘスの家族は戦時下を過ごした。
これらは全て実話であり、本作の制作には実に10年の月日がかけられているという。
事前情報では、映画内に収容所の描写はなく
虐殺が行われているのに人々の関心もないように見える
という恐ろしさについて語られているものが多い印象だったが
実際に見てみると
思った以上に日常生活の中に収容所の影は濃く潜んでいて
「関心がない」とか、「見えないようにしている」とかというより
「それを正義だと信じているから気にしないようにしている」
という表現の方が近いように感じた。
この時代
どの国の奥さんだって子供や家族の生活が大事で
夫が昇進すれば嬉しいよなと
見ていくうちにとてつもなく切なくなった。
途中途中に挟まる白黒の場面にも結構ずんとくるものがある。
今まで見たどのナチス映画にもなかった描かれ方だった。