【映画】ロストケア | おきらく映画ファンクラブ

おきらく映画ファンクラブ

最新作から懐かしい映画まで
レビューと映画情報をお届けします

ロストケア(2023・日・114分)

監督:前田哲

主演:長澤まさみ、松山ケンイチ

 

連続殺人犯として逮捕された介護士と

対峙する検事を描いた社会派サスペンス

 

見ごたえありました。

長澤まさみさんと

松山ケンイチさんの

迫真の演技バトル。

松山ケンイチさんの父親役の

柄本明さんが秀逸でした。

 

殺人のキッカケが映画の焦点なんですが

そこに情状酌量すべき理由があれば

刑は軽減されるし社会的な理解も

できるかもしれない。

しかし、現実な解決策や支援は

見つからない。

この作品は「家族介護」を

考えるキッカケを

くれる映画だと思います。

 

介護する側だった世代の私も

気が付けば介護される側の世代に

なりつつあります。

他人様(介護者)の手を借りたくない

というより経済的な問題が

大きいかと思います。

誰かの手を借りる

(施設入所やヘルパー利用)

と必ず金銭がかかる。

親族に身体的負担をかけるのか

経済的負担をかけるのか

ここの選択が介護される側には

できないんですね。

 

「終活」という言葉が生まれて

久しくありません。

どういう人生の幕引きを選ぶのか

「死ぬ権利」が議論に上がらない

日本では個人レベルでも選べません。

海外では「安楽死」をテーマにした

映画も製作公開されています。

どこまで「介護」を受けるのか

どの状態のときに

「選択」「判断」をするのか。

そういう議論が、そろそろ日本でも

起こっていいかと思っています。

 

斯波(松山ケンイチ)の殺人は

「救い」ではなく「犯罪」です

自分が救われたから似た境遇の人も

同じだろうと思うのは傲慢です。

 

私は認知症で事の判断ができなくなる前に

介護の希望などを親族に伝えたい。

決して自分が苦しいからと

親族に自殺ほう助のような負担を強いる

事だけはしたくありません。

消極的かもしれないけれど

そういう当たり前の決意も揺らぐのが

過酷な介護の現場なのかもしれません。