
「彼らは6年間、一度も壁の中に怪獣を入れなかった。」
2013年、未知の巨大生命体「怪獣」が太平洋の深海から現われる。
それは世界各国の都市を次々と破壊して回り、瞬く間に人類は破滅寸前へと追い込まれてしまう。
人類は一致団結して科学や軍事テクノロジーを結集し、怪獣に対抗可能な「巨大ロボット」の開発に成功する。
パイロットとして選ばれた精鋭たちはロボットに乗り込んで怪獣に立ち向かっていく。
まず、ギレルモ・デル・トロ監督の熱烈な日本カルチャー愛が感じられる展開が満載で、菊地凛子と芦田愛菜の好演もとにかく素晴らしく心から嬉しい。
「IMAX-3D版」は想像を絶する飛び出し具合による「アトラクション感」で、映画を鑑賞するというより「体験」する感覚に近く、オープニングから鳥肌の連続。
世界一のアトラクションに選ばれたユニバーサルスタジオの「スパイダーマン・ザ・ライド」並に「映画の中に放り込まれる」という感覚で、IMAXの凄さを体験するには本作がベストかもしれない。
オープニング5分くらいダイジェストで見せる「ロボットと怪獣の戦いの歴史」のプロローグ、からの出撃シークエンス、あのテンポと簡潔さが特に素晴らしい。
普通の映画が作品の半分、もしくは「第一章」として映画一本分はかけても良いくらいの「戦いの始まり」の導入部分をたった「5分」で終わらせ、あとはひたすらバトルという怒涛の全編クライマックス方式という贅沢さ。
映画の出だしが既に「ロボットと怪獣の戦い」が長い間行われている世界からスタートするというのは『モンスターズ/地球外生命体』の様でもあり、瞬時にSFの物語世界に引き込むパワーがある。
ロボットと怪獣の戦い方が基本「殴り合い」という点もマニアを唸らせるポイントで、本作はギレルモ監督が愛する「ゴジラ」「ガメラ」「鉄人28号」「マジンガーZ」「ウルトラマン」「機動戦士ガンダム」「機動警察パトレイバー」「カンフー」「ロン・パールマン=ヘルボーイ」や、ゴジラの生みの親である「本多猪四郎」と、特撮の神様「レイ・ハリーハウゼン」に捧げられている。
そして、ゲームオタクでもあるギレルモ監督のセンスの良さが最も光る点が、ロボットのコックピットのナビゲーションボイスが、傑作ゲーム「PORTAL」のGLaDOSと同じというところ。
映画に限らずゲームにまで及ぶ監督の「愛」と「サブカルチャー」がたっぷり詰まっている。
特に、ロボットと怪獣が激しく戦っている場面で、ロボットの腕がビルに突っ込みオフィスのデスクに微妙に当たって止まり、それによってデスクの上の《ニュートンのゆりかご》が動き出す場面は、ユーモア精神と、アクションの緩急バランスと、サイズの比較と、知的センスが全部詰まった心底痺れる一瞬の名場面。
後半の「二人のオタクが危機を救う」という展開もギレルモ監督らしい非常に燃えるポイントで、「見かけは35歳、精神年齢は12歳」という怪獣オタクで生物学者のニュートン・ガイズラーは、ありえない程の危機また危機の連続を乗り越える。
まさに本作は、世界のあらゆるジャンルのサブカル愛好家が「オタクで良かった」と思える「自己肯定映画」の決定版。
「どこで死にたい? ここか?イェーガーの中か?」
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