「銀行は、晴れの日に傘を貸して、雨の日に取り上げる。」
「銀行に入れば一生安泰」と言われていたバブル時代に大手銀行に入行した堺雅人演じる「半沢直樹」=融資課長。
相手が上司でも態度を曲げず、決めゼリフは「やられたら倍返し」。
銀行の内外に現れる「敵」と戦い「組織」に立ち向かう様子が描かれていく。
東京中央銀行大阪西支店融資課長の「半沢直樹」が、「粉飾決算」により回収不可能となった融資《5億円》の責任を上司になすりつけられ窮地に陥り、ドン底からの逆襲を始める。
堺雅人・滝藤賢一 の『クライマーズ・ハイ』コンビと、堺・香川照之の『鍵泥棒のメソッド』コンビと、堺・滝藤・香川の『ゴールデンスランバー』トリオでもある素晴らしい「役者」の三人が本作で再共演。
オープニングの堺雅人の顔アップから「長回し」&「長ゼリフ」は圧巻で、「銀行」という組織を徹底的にリサーチした原作・脚本と、映像の重厚感と素晴らしい役者たちが揃い、実質1時間30分の第1話拡大スペシャルは「一本の映画」として見ても良いくらいの完成度で釘付けになる。
半沢直樹の青年時代と現在を交互にリンクさせ、現在の場面も前後に時間軸が飛ぶ構成で、ストーリーも「硬派」な社会派ドラマと思わせておいて、緊迫感の無い妻との笑いを交えた場面も良いバランスで「エンターテインメント精神」も忘れていない。
「絶体絶命」から始まる構成が、拍手喝采で幕を閉じるという「起承転結」の中に、「悪しき銀行のシステム」「腐った上司」「偉そうな国税局」「粉飾決算」「裏切り者」「出世争い」「胡散臭い融資先」「過去のトラウマ」「尻尾を切られる同期の仲間」「倒産に追い込まれた企業たち」「家族の絆」「社宅での妻たちの派閥争い」「親父の教え」「壇蜜」「正義」などがギッシリ詰まっている。
堺雅人の歴史に残る傑作ドラマ『リーガル・ハイ』のキレ味は健在で、特に上層部に対し堂々と「真実」で論破するクライマックスは《時代劇》の様にとても痛快。
今作も、今ノリに乗っている「役者:堺雅人」のポテンシャルを存分に安心して堪能できる。
「諦めない」強い意思を捨てずに巨大な権力に立ち向かう「窮地に立たされた主人公」の逆転劇。
これは、心に深い傷を持ちつつ孤独に立ち向かう一人の男の、日本版『ダークナイト・ライジング』。
「だったら、あんた達は何のためにいる?責任が取れない本部審査に何の意味がある?そんな融資部なら必要ない、やめてしまえ。さっきから都合の良い事ばかり書いてんじゃねえぞ、記録。今から言う事を書き留めとけ。私は必ず5億を回収する。二度と邪魔しないでいただきたい。」
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