レ・ミゼラブル (2012年) | 愛すべき映画たちのメソッド☆

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映画感想家・心理カウンセラー・芸術家のNatsukiです☆

『映画にどんなに素晴らしいメッセージが含まれていようと
「娯楽性」がなければ作品としては失敗だ』/レオナルド・ディカプリオ



「夢見た人生。こんな地獄じゃなかった。輝きに溢れていたはず。二度と帰らない・・・」

《歌》は心を揺さぶる「エネルギー」と、心を癒す「魔法」を併せ持っている。

ニューヨークで初めて上映された際、観衆からスタンディングオベーションを受けたという本作は、ヴィクトル・ユゴーの同名小説を原作としてブロードウェイを含む世界各地でロングラン公演されていた同名ミュージカルの映画化。

ミュージカル映画は通常、歌は事前にスタジオで録音し、撮影現場でその歌に合わせて演じるという方法が多いが、本作での歌は全て撮影しながら録音している。

つまり、舞台では当たり前だが全ての場面で活き活きとした「臨場感・ライブ感」があり、役者は「演技と歌唱」を同時に完璧にこなさないといけないという難題を見事にクリアしている。

想像を絶する努力とリハーサルを長い期間積み重ねて撮影に挑んでいる。

劇中で長い髪を切り短髪になる場面で「実際に髪を切って」演じているアン・ハサウェイを筆頭に、全キャストの「役者魂」が凄まじいし、全キャストの努力の成果が結実し、全場面が眩しいくらい輝いている。

1825年、たったひとつのパンを盗んだことから19年間もの間投獄されていた囚人「ジャン・バルジャン」は仮釈放を命じられる。

バルジャンはある村で司祭の「許し」に感銘を受け、真っ当な人生を歩む事を誓う。

それから9年後、多くの努力を実らせたバルジャンは市長になり、工場を経営するほどの人物に成長していた。

そんなある日、工場で働いていた「ファンテーヌ」が不当解雇され、娼婦に身を落としてしまう。

それを知ったバルジャンは責任を感じ、彼女の娘「コゼット」を救うために大いなる決断を下す・・・。

《Les Misérables》=「哀れな人々」がドン底の生活の中で「夢と希望」を心に秘め、もがき苦しみながら人それぞれの「何か」に向かって突き進む姿勢と、あらゆる努力を惜しまない姿には、本当に心を鷲掴みにされて涙が止まらない。

「困難を乗り越える人々」や「夢を果たせず挫折する人々」や「あらゆる出来事で改心する人々」たちが、出会い、愛し合い、憎み合い、時に殺し合う。

複雑にもつれあった数々の「人生」を生々しく描き、かつ「希望」を忘れさせないストーリーと、素晴らしい「歌」の数々にとても心を揺さぶられる。

《許すこと》をテーマにした物語に、時に勇気づけられ、励まされ、最後には《自信》をもらえる。

人生を踏み外してしまった人々が高らかに歌うラストの「民衆の歌」の高揚感と希望に満ちたエネルギーは、言葉を失う程に「魂」に響く。

この先、時代を超えて永遠に人々を感動し続け、語り継がれるであろう本作は、歌唱と演技と映像が奇跡的に結実した映画ならではの《芸術作品》。

その誕生の瞬間を目の当たりにできた幸運を噛みしめ、溢れ続ける涙を拭いながらのエンドロールで、出演者全員に敬意を表する鳴り止まないスタンディングオベーションが確かに聴こえた。

「隊列に加われ、砦の向こうにあこがれの世界がある。明日はやってくる。」


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