悪人 | 愛すべき映画たちのメソッド☆

愛すべき映画たちのメソッド☆

映画感想家・心理カウンセラー・芸術家のNatsukiです☆

『映画にどんなに素晴らしいメッセージが含まれていようと
「娯楽性」がなければ作品としては失敗だ』/レオナルド・ディカプリオ




「ひとつの殺人事件。引き裂かれた家族。誰が本当の“悪人”なのか?」

人間の本質は善と悪の二面性である。

小説と映画で話題になった『パレード』と同じく、吉田修一の原作を映画化。

松尾スズキ と でんでん の登場には驚いたし、内面に闇を抱えた妻夫木と純粋で芯の強い深津の演技がとにかく迫真。

『告白』に続き岡田将生も嫌味たっぷりの好演で、『愛のむきだし』の満島ひかりの可愛さと憎々しさの2面性も巧い。

三瀬峠・渡辺通り・東公園・けやき通り・大名・鉄なべ/であい橋店・長浜屋台ラーメン/川端店・カフェバー/ソルファミリア・ラブホテル/クローバーリーフ・いか本家/本店・大瀬崎灯台など、福岡・佐賀・長崎が舞台ということで、福岡市民には馴染み深い場所ばかり登場する。

鑑賞後に、妻夫木と深津が出会う場面の《JR佐賀駅》のロケ地を見に行った。

閉鎖的な環境で暮らす主人公は、これといった楽しみもなく毎日が終わる。

不幸ではないが幸せでもない日々が過ぎていくばかり。

そんな状況だったからこそ負の連鎖を招き、後戻りできない深みにハマってしまう。

リアルじゃなく、ネット上だけでも【人との繋がり】がもっと沢山あれば誰かに相談したり愚痴を言ったりも出来ただろう。

そうすればもっと違った人生になったに違いない。

それはこの作品に登場する全ての人物に当てはまる。

それぞれが自分の考えだけを信じ、それぞれが個人プレーで行動した為に悲劇の引き金が引かれたと思える。

人と人との繋がりが何かを救う事は多々ある。

自分のこと以上に他人に何かを想えることが出来れば、それがとても大事な事なのだろう。

そんな当たり前で忘れがちな事に改めて気付かされた。

「あんた、大切な人はおるね? その人の幸せな様子を思うだけで、自分までうれしくなってくるような人は。」


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