〜晩夏の花火〜







遠くで花火の上がる音がする


今夜は隣町の花火大会


ベランダに出ると


マンションの角で欠けた


花火が見える


晩夏の夜は


まだ蒸し暑く


処暑が過ぎたとは思えない




儚く散ってゆく運命と知らず


手を引かれて見た花火


あの花火より美しい花火に


出会う事はもうないだろう




どこかの部屋でも


ベランダで花火を


見ているらしい


はしゃいだ子供の声が


打ち上がる花火の音と 


リンクして


夜の熱気に紛れ少し眩暈がする


額にじっとり汗がにじむ


もう涼しい部屋に戻ろう


悲しい思い出は


ベランダに残したままで