「アーモ」はナイジェリアの言葉、イボ語で“おばあちゃん”の意味だという。

『ありがとう、アーモ！』

ありがとう、アーモ!

オーゲ・モーラ：作　三原泉：訳　鈴木出版（2020年）

バス通りのアパートのてっぺんの部屋、アーモはひとり、夕食のシチューを作っている。おおきなおなべいっぱいの、とろーりとろとろ。特製シチューに、うーん、おいしい！今までで最高の夕ごはんになりそう！すると誰かが玄関のドアをトントン！

開けてみるとひとりの坊や。「このアーモになにか、ごようがあるのかい？」坊やはシチューの匂いにつられてきた様子。よだれがでちゃう！とシチューに見とれる坊やにアーモは、一杯ぐらいならいいかとシチューをお碗に入れて持ち帰らせる。するとまたしばらくして今度はお巡りさんが・・・

ナイジェリア出身の作家による、ナイジェリア人を描いた絵本だけに、てっきりまた差別とか異文化交流的な話かと思いきや、まったくそんなことはなく、むしろおばあちゃんが「アーモ」というだけで実にボーダーレスで普遍的なおはなしで気に入った。

切り絵とコラージュによるイラストも味わい深くいい感じ。最後の展開は『おはなしのもうふ』を思い起こさせるが、いかにも現代的でハートフルなおはなし。実際にこんなことがあったらきっとSNSとかで話題になって相当バズるはず。

実際の話だったらSNSで話題になりそうなほっこりイイ話