世界経済は、初めて100兆ドル(US$)に達した。 日本はかろうじて第3位であるが、このまま推移すれば、ドイツやインドに抜かれる恐れが十分にある。 かって日本経済は、長年、米国につぐ世界第2位の経済規模を誇っていたが、90年代のバブル崩壊とそれ以降のデフレ経済の結果、経済成長が止まり、足踏みしている。 その間に、中国の高成長に抜かれてしまった。 この中国の高度経済成長には、日本政府の無償・有償の経済援助(たとえば、初期の北京の地下鉄建設や中国の港湾整備など)と日本民間企業による、中国への工場進出や技術援助(例:中国の宝山製鉄所への日本鉄鋼業界の技術支援など)も貢献しているのは、結果として皮肉なものである。 一説によると、中国に進出した日本企業の工場で雇用している労働者は約千万人とも言われている。 仮に、その半分でも、それぞれの企業が日本国内での工場建設に投資していれば、日本産業界の国内空洞化もその悪影響がすくなかったと考えられる。 もちろん、中国進出を決めたそれぞれの企業にとっては、経済合理性を判断しての決断であったろう。 しかし、日本経済全体として考えると、個々の企業が最適と判断しての決断は、悪い結果となってしまった。 合成の誤謬の典型である。

 

日本の海外からの輸入品目を眺めると、石油・天然ガスなどの鉱物性燃料に次いで多いのが、電気製品である。 我々の身近な物(携帯電話、テレビなど)を見ても、Made in Japanは多くない。 1990年頃まで、日本国内工場で生産された電気製品は米国やヨーロッパ市場を席巻しており、当時、中国の金持ちは、日本製のテレビを居間に置くのが、ステイタスであった。 この様変わりが、バブル崩壊以来の日本経済の低迷と日本経済の旗頭でもあった日本電気産業界の現状を象徴している。

 

日本の主要輸出品目である。トップが自動車などの輸送機械であり、次が、工場設備や発電所などの産業用の機械類である。 3番目に電気製品があがっているが、これは半導体や部品群であり、最終組み立て製品ではない。 この輸出品目群を眺めると、かってのJapan as No1と言われた日本工業力は衰えたとはいえ、依然として日本経済を支えているのは、製造業であることがわかる。 明治の開国以来、日本は、日本列島の自然環境(国土が狭く、鉱物資源に恵まれず、農地に適した平野も少ない)から、おのずと、海外から燃料、食料、工業原料などを輸入し、それに独自の技術と日本人の持つ優れた職人気質で、加工し、優れた品質の工業製品を作り、付加価値をつけて海外へ輸出している。 つまり加工貿易立国である。