結婚するまでの話。

私達の馴れ初めなんてどうでもいいのは重々承知の上、懐かしくて勢いで長々綴ってしまった。

惚気全開だし不妊治療には全く関係ないので見なくていいです。

 

 

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夫は大学のクラスメイトだった。平凡な出会い方である。

 

すごく頭良いけど変わってる人、清潔感がない、もてなさそう、というのが第一印象である。我ながらひどい。

 

1年の後期に2人組で実験を行う授業があり、学籍番号が隣だった私と彼がペアになった。

 

実験の合間に少し話すようになった。

 

彼は歴史に造詣が深かった。私の知らない色々なことを知っていて、彼の話は面白かった。そしてやっぱり変わっている人だと思った。

 

ある日、唐突に彼からデートに誘われた。それも美術館と博物館に。

 

とても驚いたが、悪い気はしなかった。予定がなかったので、誘いに乗った。

 

昼ご飯も食べずに美術館と博物館をはしごし、やっと某チェーンのカフェに入ったのが午後3時半だった。

 

展示を見ている間は話さなくて済んだし、電車での移動の時間は他愛もない話をしていた。

 

カフェのカウンターで隣に座ってから、とても変な空気になった。

 

お互い黙ってサンドイッチを食べていた。

 

やがて、彼は意を決した様子でこう言った。

 

「俺のことどう思ってる?…友達?友達だよね?」

 

実を言うと、実験で話すようになったものの彼のことを友達とすら思っていなかった。我ながらひどい。

 

異性として意識したことももちろんなかった。ただの変わっているクラスメイト、実験のペアである。

 

それでも、そのあと続けて彼から好きだと告白されたときは嬉しかった。

 

告白されたのは初めてだった。何回か片想いで告白したことはあったが、毎回玉砕していた。

 

何とも思っていなかったけど、初めて私を好きだと言ってくれたこの人を好きになろうと思った。

 

 

 

 

 

以上が馴れ初めである。

 

実験のペアじゃなかったらおそらく彼が私を好きになることはなかっただろうし、私達が付き合って結婚したのは本当に偶然だと思う。

 

最初は、告白されたから付き合った、という感じではあったものの、私はすぐに彼が大好きになった。

 

女の子大好き、彼女が居てもあわよくば他の可愛い女の子とヤリたい、というチャラい大学生の男にありがちなギラギラした感じが私は嫌いなのだが、彼にはそういった私の嫌いな男の部分が全然なかった。

 

朴訥としていて不器用だけど、まっすぐないい人なのである。

 

ただし、彼にはあまり常識がない。他人にあまり興味がない。特定のものにはこだわりが強いが、基本的に気にしない性格である。

 

付き合っている間、彼の常識のなさ、無神経さに何度もブチ切れることになったが、破局には至らなかった。

 

なんだかんだ言って、彼の適度な「無神経さ」は心地いいのである。

 

もし、彼と付き合っていなかったら、ということは今でもたまに考えることがある。

 

彼と付き合い始めたのが大学1年の冬。それから学年が上がるにつれて、そして社会に出てから、ぐっと世界は広がった。

 

色んな男性と知り合ったが、それでも、彼以上の人は私にとってはいないのである。

 

 

 

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大学卒業を機に結婚の話が出た。

 

式の準備の期間と、後期研修の申し込みの時に新しい苗字になっている方がいいという打算の結果、研修医1年目が終わったら入籍&挙式することになった。

 

こうして晴れて夫婦になり、避妊もしなくなったのだが、2年たっても妊娠しなかった。