時々、
君が本当に存在していたのか
疑問に思うことがある。
すべては本当に
起こったことだったのだろうか?
あの角の席に、
本当に座って、
初めて一緒に笑ったのだろうか?
あの夜、
本当に同じ電車に乗ったのだろうか?
たった2分、
もしかしたら3分でも、
まだ君と一緒にいたかった。
まるで、もうその時から
君と離れるのが
どれだけ辛くなるか、
知っていたかのように。
本当に、
川沿いの散歩の後、
腕を組んで
初めてキスをしたのだろうか?
本当に、
君の横顔を、
テレビの淡い青い光に照らされながら、
初めて一緒に過ごした夜、
君の美しさに見とれて、
そっとため息をついたのは、
現実だったのだろうか?
思い出が浮かび上がり、
同時にイメージも揺れ動く。
それに触れようとするけれど、
届かない。
君が一日中過ごしていた
あのカフェを見つめて立ち止まる。
あれから、
一度も君に会っていない。
君の姿を、
ほんの一瞬たりとも。
人々が走り抜ける音、
足音が響く中、
君の笑い声が
聞こえたような気がする。
でも、
君の姿は見えない。
あのカフェにも、
もう君はいない。
それとも、
初めから君はいなかったのだろうか?
君と出会う前と同じように、
今も君は見えない。
ただ、今度は、
どこを見ればいいのか
分かっている気がする。
それでも、
君はいない。
君は本当に存在していたのだろうか?
それとも、
あのカフェで
売っている
秋の初めの熱いコーヒーの
湯気のようなものだったのだろうか?
知っているだろう、
あの湯気が立ち上がり、
漂い、
香りを捕まえようとしても、
すぐに逃げてしまう湯気。
風とともに踊るように消えていく。
もしかして、
君が僕のコーヒーだったのかもしれない。
そう思い始めた。
熱くて、
手も口も火傷するようなコーヒー。
湯気が顔を包み込んで、
やがて消えていき、
もう何も見えなくなる。
残るのは、
ぬるいカップだけ。
湯気のように、
君は消えていった。
君はその温かさを持って、
風とともに去ってしまった。
コーヒーの湯気のように。





