全日本調理師連盟 福井幸男 -17ページ目

全日本調理師連盟 福井幸男

全日本調理師連盟は、日本食文化の啓発を国内外で活動しています。
又、「美と食と健康」をテーマにセミナー開き、「貴方をもっと美しく健康に!」健康なライフ生活を送って頂く為に、管理栄養士さんと活動もしております。http://www5e.biglobe.ne.jp/~eff/morning/

<料理の修行から学ぶ!>
料理の修行は厳しいと皆さん思っておられるとおもいます。徒弟制度の厳しさは、皆さんが考えておられる様に厳しいものです。当時私は、関西で一、二の料亭で修行していました。もちろん一見様はお断りです。料理の道は戸惑う事ばかりで厳しさも想像を超えるものでした。先輩に意見を言える雰囲気ではなく、白だと言われれば黒でも「ハイ!」と言わなけらばならない世界なのです。日本料理の世界は特に封建的で厳しい世界ですが、常に先を考え、今、何をしなくてはならないかを要求される世界でもありました。

その様な日々を過ごす中で相手の気持ちを読み取れる様になっていったのです。ある意味、日々が勝負の世界でもあります。「常に準備をして機会を待つ」と言う言葉がピッタリの世界です。
もちろん仕事は教えてくれません。教えてもらえないから知恵が働き、どの様な小さな事でも見逃さない精神が植え付けられたのです。教えてもらえずいつも叱られて居れば皆さんならどうしますか?きっと悲観的になり自信を無くして辞めてしまう人もあるでしょう。少しでもその様な気持ちになれば、自分を見失い益々自信を無くします。

<行き詰ったときは考え方を変える!>
でも安心してください。少し考え方変えるだけで解決できるのです。
それは、私が新人の時は鍋洗いの日課でしたが、鍋を洗いながら耳を傾けて気を配り、洗い場に下がってくる鍋にこびりついている煮汁を舐めて味を覚え、横目で先輩の行動から色々な事を学びメモを取る日々です。それを怠ると、仕事を覚えるチャンスを自ら放棄することになります。何も教えてもらえない、だけど無言で教えてくれている。その様に考えると悲観的な考えにならないで前向きになります。そして、学ぼうとする強い気持ちが自然に生まれ行動に移せます。

<一度のチャンスを活かす準備を怠らない!>
ほんの少し考え方を変えることで、教えてもらえなくても色々しなくてはならない事が頭に浮かびます。待ちの姿勢からは何も生まれず、考え行動すると、どんなにハードルが高くても乗り越えられるのです。それは、いつチャンスが巡って来ても、確実に自分のものにする秘訣なのです。
当時、料理の世界では一度チャンスを逃がすと、次のチャンスは信頼を得るまで巡ってこないのです。仕事の事を聞けば、「お前から月謝をもらってない!」と叱咤され、失敗すれば信頼されるまで次のチャンスは与えられません。事実、学校の教え子も「仕事を教えてくれません。先生、苛めを受けています。」と電話がありました。「どうした!」と聞くと仕事を聞いても教えてもらえないと言うばかりです。それが料理の修行と言っても苛めだと言って、聞かず結局辞めてしまいました。

<厳しい修行の中でのやさしさと気遣い。>
私が料理の道に入った当時は、朝から晩まで鍋を洗い包丁も触らせてもらえません。また朝は、料理長を地下鉄の駅まで迎えに行き、調理場に入ると私服から割烹着に着替えさせ、夏、汗で下着が濡れていれば洗い、料理長が外出するまでに乾かさなくてはなりません。
当時は乾燥機と言う便利なものが無くて、コンロの上で火に炙って乾かせていると「ボッ~」と燃えたこともありました。料理長が帰るときは、靴はピカピカに磨きズボンを履かせて服を着せ、駅まで送って行くのが一番下っ端の私の日課です。料理長が薬を飲む時間になれば水の用意、お昼の時間になれば食事の用意など仕事をするどころでは無かったです。

一番辛かったのは、料理長の食事を作って運んだ時です。先輩からお茶碗が欠けていると言われ、すぐに取り換えましたが「遅いからいらん!」と言って、食事に全く手を付けず外出してしまいました。さぁ~!そこからが地獄の世界が待っていました。
料理長が食事を食べないと以下全員食事ができないのです。だからその日は一日食事抜きで仕事です。先輩から罵声を何度も浴びせられ逃げ出したい心境になりました。常にお前がお前がで言われる一日です。又、調理場が食事するときは、先輩のご飯のお代わりで忙しくご飯を食べる暇もなく、気が付けばご飯が残っていない時もありました。当時は調理場に18名の料理人が居たので大変でした。炊飯器の底に残っているご飯をかき集めてお腹を満たしたこともありました。だから、仕事中にお腹が減りグーグーと鳴ることも再三でしたが、ある日先輩が「おい、これを食え!」と言って大きなおにぎりを持って来てくれた時は、鬼に思えた先輩が女神さまに見えました。その時の先輩の声、しぐさ、笑顔は今も心の中に強烈に残っています。それぐらい厳しい世界でもあります。今から考えれば厳しさと優しさ、そして気配りを修行の中から学んだ様に思います。
調理長のお世話をしている時、俺をお客様と思えと言われたものです。つまり、修行から自然におもてなしは何かを教えられていた様な気がします。

そしてそれは、相手の行動や言動から学びなさいと言う無言のメッセージでもあったのです。つまり、常にお客様を意識して器が欠けたものは出さない、お客様が帰られるときはコートや忘れ物が無いように気を遣う、お客様が帰られる時はお見送りをする、お客様から言われる前に対応する事を、修行の中から常に教えられていたのだと今は理解できます。当時の私は「駅まで迎えに行かなくても大の大人が一人で来ればいいのに。」と何度も思ったものです。それは間違いでした。
後に、独立してビジネスをする中で、修行から学んだ事がビジネスに精通するものが多くあることに気づきました。

<不安は力・・・>
私は、料理の世界に入ったときは不安で一杯でした。自分も先輩の様になれるのか、どうすれば早く先輩に追いつけるのか、先輩より上手に料理が作れるのか、毎日考える日々が続きました。だから、不安であればあるほど色々な知識を得ようとしました。そして、全てメモに残していました。今、振り返ってメモを見ると笑えます。人の行動を見て見様見真似から始まり、勉強することで一歩一歩目的に近づけると信じて行動に移していたように思います。「待つことから何も生まれない!」そう考えると行動へと心が掻き立てられます。そして、行動は結果となって形に現れます。つまり、不安は力です。不安だからこそ失敗しないように万全の対策を考え、色々な準備や知識を得ようとするのです。だから、不安は自分が成長する切っ掛けでもあります。心配だからこそ万全を期してチャンスを待つ。料理の修行から得た教訓です。

<何も教えてくれないから発想も豊かになる。>
最後に、料理の修行中は何も教えてくれませんが、教えてくれない先輩の行動や言動から得るものが多くありました。教えてくれないから覚えられないは間違いです。人を頼るのではなくて、教えてもらえないなら無言のサインがあるはずです。それは、少し考え方を変える事で道が開けます。先を見つめて今ある現実を捉え考え、どの様な行動を取らなくてはならないか私は修行から学びました。つまり、考え方しだいでプラスにもマイナスにもなると言う事です。そして、行動を起こさなくては何もしないのと同じなのです。 もし私が、単なる料理の修行と捉えていたら、この様な考えに至らなかったと思います。現状に流されず常に前向きで挑戦する事で未来が見えて来るのです。そして、今自分が居るポジションをしっかりと理解して進むことです。

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  福井幸男(ふくい ゆきお)
  テレビやラジオ、イベントの出演や週刊誌、新聞などで活躍する
  一方で、講演やセミナーなど国内外で活躍しています。 又、
  レストランや起業される方の相談、異業種交流会を主催し、
  情報交換の場やマッチングの場も提供しています。

  ・全日本調理師連盟 会長
  http://www5e.biglobe.ne.jp/~eff/ajcf/
  ・辻学園調理師学校 元講師
  ・東京農大 元非常勤講師
  ・食からの環境保全 イーフ21の会 会長
  ・著 書 数冊
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