日差しがあったので、布団を干した。
午後から出かける予定だ。
約束はなかった。
出かける準備をしていると、
あっという間に正午になる。
布団を取り込んだりしているうちに、
いつの間にか夕方近い時間になる。
面倒だな・・・と思いながら何とか家を出る。
目的地までは電車で30分。
風が強い午後だ。
あたしは何となく遠くへ行く気になれなくて、
駅前のパン屋で休むことにした。
オープンテラスでコーヒーを飲む。
読むのを忘れていた本を取り出して、読み始めた。
手に入れたことすら忘れていた物語の中に引き込まれながら、
あたしは何度も、飲み終えた空の紙コップが
風に倒れされそうになるのが気になった。
この場所は限界かな。
もう帰ろうと思った。
でも、真っ直ぐ帰る気になれなかった。
ふらふらとあても無く歩き出した。
物語の続きが気になった。
風の存在が消える場所を求めて歩き続けた。
小川沿いの緑道に差し掛かる。
ほの暗い緑に少し怯えながら、
その道の奥へ進んでみることにした。
少し歩くと視界が開けた。
綺麗に整備された緑道。
紫陽花が咲き始めている。
あたしはそのまま小川沿いを歩く。
もう、雨の季節になるんだな。
この道はどこまで続くかわからない。
それでも、あたしの足は前へ進む。
無心で歩く。
そう言えば昔、あたしはそういう人だった。
どこに辿り着くか分からない道を、
ただただ前に進む人だった。
あれから5年。
色々変わったのだろう。
あのときの、あんな無防備な自分は
今のあたしには存在しなかった。
いや、それが在るのを忘れていただけなのかもしれない。
懐かしい感覚に浸りながら、
あたしはただひたすら足を前へ進めてゆく。




