本日は、以前頭蓋整骨法を教えてくれたシュバイツアー女史が診療所をオープンするまでのいきさつを講義してくれました。
彼女は今年の1月に自然療法士の試験に受かり、3年かけて習得した頭蓋整骨法、心理カウンセリング、催眠療法といったことを専門に診療所をオープンしました。
人口数万人という街に診療所をオープンしたのにも関わらず、休む暇がないほど患者が訪れているということです。

まずここで自然療法士の資格について説明しましょう。
ドイツではセラピーと名のつくものはすべて治療行為に当たるため、お医者さんの資格、もしくは自然療法士の資格がないと治療を施してはいけません。
アロマテラピー、リフレクソロジー、指圧、鍼、ホメオパシーなども自然療法士の資格が必要です。
逆にマッサージという名のついたものは、健康な人が対象で、いわゆるウェルネス的な、美容と健康を促進するのが目的であるため、公的な資格が必要ない訳です。アーユルヴェーダ、タイマッサージなどがこれにあたります。
では、自然療法士の資格試験はいったいどういったものなのか。
それは西洋医学を根本的に学ぶということです。
西洋医学の知識なしにして自然療法を施してはならない。
患者を危険にさらさない最低条件として、西洋医学を学ぶということです。
自然療法士のもとを訪れる患者というのは、たいてい、普通のお医者さんで治らない慢性的疾患を抱えている人が多く、例えば肝炎といった潜伏期間の長い、しかも感染率の高い患者が訪れる可能性が高いため、しっかりと診断ができる知識を備えていなければならない訳です。
だから、2年もかかるのね、勉強が。

日本に視点をずらしてみるとどうでしょう、まったく違った状況ですね。
「テラピー」であれば誰もが行って良く、「マッサージ」は国家資格が必要。
ようするに按摩鍼お灸の国家資格を取るには3年の修学が必要です。
それ以外はいわゆるグレーゾーンという訳で整体からカイロプラクティスは「マッサージ」と名を付けなければ違法行為ではないし、アロマテラピーだってホメオパシーだって、リフレだって、健康な人を対象にしているから治療行為じゃないっていう大義名分があります。
でも、果たしてクライアントを危険にさらしていないだろうか、という疑問もここで残る訳です。
それぞれの団体が安全性をしっかり教えてはいるだろうけど、曖昧な部分も多いのじゃないかな。

かといって、ドイツだっていい点も悪い点もあります。それは自然療法士の資格試験のために学校に通っている人達がしっかりと自分の専門を持っているかというとそうではないのです。まずは自然療法士の資格を取ってから専門を決めようという人が半分以上なのです。資格のために2年を費やし、受かったと言っても専門がなければ診療所を開いても患者が来ることはないのですから、まずは専門の勉強と経験を積んでいかなければなりません。しかし、すべての自然療法士が十分な経験を積んでいるわけでもなく、週末のコースや数ヶ月のコースに通っただけで専門家気取りで診療をしている人もなかにはいるらしいと言います。ですから、ここでも自然療法士の専門性に対する能力は千差万別というわけです。まあ、専門が決まっていないクラスメートにとっては、資格に受かったとしても、専門のためにまた数年を費やすのですから、開業できるのはいったいいつになることやら、と今日の授業はかなり現実を突きつけられた訳です。

シュバイツアー女史が強調したのは、まず、
自分の専門を決めること。
それから診療所を開く物件探しが始まるというのです。
それはおっしゃるとおり。
中国鍼をやりたい人や私のようにアロマテラピー/リフレを行いたいのであれば、ベットが置ける広さのスペースが必要、でも心理カウンセリングであれば大きなスペースは必要ないけれども、どちらにしても患者専用の待合室、施術を行う部屋には必ず洗面台を設置し、患者専用のトイレもなければならいといった制約が法律によって定められているというのです。
そして健康庁が定めている衛生基準とやらもあるし、労働局や税務署、商工会議所などにも通って必要な書類が山ほどあるし、開業までの道は険しいということをクラス全員が思い知った授業でした。

私がこの資格を取る目的は、自分が行うアロマテラピー/リフレが違法でなく行えるという点につきます。オイルを用いたウェルネスマッサージというくくりで開業することは今の時点で合法的に可能ですが、そうなるとアロマテラピーがテラピーとうたうことができないのです。それこそグレーゾーン的に中途半端にマッサージを行うということです。
今しっかり学んでこの自然療法士の資格を取っておけば、病気を抱えた人を見極め、適切なアドバイスができ、さらにもっと違った専門の道も切り開かれてくるかなーといった希望もあるのです。
勉強は大変だけどね。
同じ月日を過ごすのでも、何もせず穏やかに暮らしていくことも可能なのに、それよりも有効にがむしゃらに頑張っていく道を選んじゃったなー、と思う。
いいんだ、でも。
この努力はすぐには報われないかもしれないけど、数年後、やって良かったーと思える未来が待ってるはずだからね!!!
だよね?神様?