自然療法士の学校へ通い始めて2ヶ月以上が経ちました。

最初の1ヶ月は、勉強道具を持って月曜から木曜日まで毎朝電車に乗って通う事がいかに大変か実感していました。
主婦歴も長いと、普通に会社員として働いている人達が普通にこなしている事が「大変」となってしまうのだなー、と夫には「通学が大変」などとは口が裂けても言えませんでした。
さらに勉強道具が重いのと、3時間半の集中聴講が、慢性的な肩こりを引き起こしました。
家に帰ってくると倒れ込むようにぐったりしていたものです。

そして、ドイツ人の中で学ぶという事は必然的に「劣等生」「出来が悪い」という立ち位置になり、精神的に追いつめられていました。
簡単な質問も深読みして答えられなかったり、頭ではわかっていても表現のしかたがわからず悔しい思いをした事が何度あった事か。(今でもそうですけど)

さらに、授業方式の違いに戸惑い続けていました。それは私だけでなく教える側の先生にとっても、私の授業を受ける姿勢に戸惑っていたようでした。
それは、常に消極的受動的姿勢であるという事。
日本人の生徒というものはやはり発言がきわめて少ない。
こちらに住む日本人の友人で同じように学校に通っている(いた)人達に話を聞くとやはり、ドイツ人の発言量にはかなわず、クラスの中で最もおとなしい生徒となってしまうのです。
「わからなかったら何でもいいから、授業を中断してもいいから、質問してください」と先生は言ってくれます。
しかし正直なところ、初めのうちは何がわからないのかわからない状態でしたし、わからない所を自分なりに解釈しているうちにどんどん授業が進んでしまって、今更前の話題に戻るのが申し訳なくて、「いいや家でゆっくり自分で調べよう」となってしまうのです。
日本人特有の「人に迷惑をかけてはいけない」という子供のときからのしつけが、ここドイツでは消極的授業態度の結果に結びついているのです。
消極的・受動的態度がなぜいけないか。
きちんと発言/質問する事で「私はこういうふうに理解しています」という形で先生にアピールする事ができ、授業の質の向上に一役買う事ができ、一方的ではない相互作用によって授業を進めていくことができるのです。これが大切なのですね。
時には(ほとんどの場合なのですが)プライベートな話題で授業が脱線する事も多く、うんざりすることもありますが、それでもいいのです、人の迷惑など二の次のようです。
そして私が最もうんざりするのは、人の話を最後まで聞かない生徒が多いということ。
自分から先生に質問しておいて、先生が答えを説明しているにもかかわらず、かぶさるように発言をしたり、先生に聞いた質問も他の生徒が横やりを入れて来たり、混乱させられる事至極多いわけです。
しかしこれも、外国語で学んでいる唯一の利点として、聞きたくない事はスイッチオフできるということで今まで乗り越えてきました、たぶんこれからも。
「あー、また個人的な話が始まったー」と思うと、わからない単語を辞書で調べたりして、なるべくドイツ語理解能力を無駄なものに使わないような工夫もしてる訳です。

さて、私が授業に積極的に参加している事をアピールするためにどういったことができるか。
家でしっかり復習し、次回必ず質問ができるように準備する事を徹底してきました。
どんな質問でもいい、自分はこういう風にこの文章を解釈したがこれで合っていますか?と言えるよう1ページ1時間かけて復習した日もあります。
ですから、何時間あっても1日が足りない。
帰って来て家事して復習しながら息子の日本語の宿題を見て、夕食の支度をしてそのまま復習が続き、シャワーを浴びて寝るという毎日。
こんなこと、長く続くわけないと思っていましたが、理解のスピードが早くなり、授業についていけるようになると学校に行くのも楽しくなってきました。というよりつらくなくなってきました。

10年以上悩まされてきた手の主婦湿疹があります。学校が始まって1ヶ月はかなりひどい状態でした。
しかし、秋休みで1週間学校が休みになったとき、すっかり良くなり、これは水仕事による湿疹ではなく精神的なものなのだという事がわかり、一生これに悩まされるのかという思い込みがなくなりました。
学校に行くのが楽しくなればきっとこの湿疹は消えるはずという予測はドンピシャに当たり、ここ数週間指の調子がすこぶるいいのです。

さらに、一番難解な授業をする先生から「あなたは家でかなり勉強してるのね、ドイツ語も上手だし」なんて歯の浮くような褒め言葉を頂き、「あー!報われた!私がやっている事は無駄じゃないんだ!」とほっとするやら嬉しいやら、一気に勉強のモチベーションが上がりました。

さあ、明日も頑張るぞ。

明日は感染症のお勉強、ポリオ、脳炎、ペスト、溶血性尿毒症症候群、はしか、炭疽菌がしっかり復習されているか、先生からの質問で授業が始まります。
どんな種類のウイルス?潜伏期間は?特筆すべき症状は?予防方法は?治療方法は?といった細かい質問です。
つい最近までこの前回学んだ事の復習時間が恐ろしくてたまりませんでした。
なぜならどんな質問が先生から当てられるかわからないからです。
しかし、今は大丈夫。
しっかり復習しているから、なんでもこいです、ふふふ。