まだ夜も開けきらない薄暗い空の中
片道40分のTくん宅を目指し出発
やっと家にも居なくなって安心出来るのに
わざわざまた危ない方へ行くことないのにな
冷静にそう思う脳内レモンもいましたが
なんだかんだ携帯無いのはツラい
ここまで来たら取り返しに行かないと
まだ早朝という事もあり道はスイスイ
割とスムーズにお家に着いた
駐車場にはカーチェイス中にすれ違ったT君の車がちゃんとあった
家に帰ってきてる
そう確信したとたん心臓の音がバクバク
以前T君がバイトの時は合鍵で堂々と
正面玄関から入っていたが
携帯持ち出される前に合鍵を返させられた
なのですでに合鍵は無い
だが、そのお泊まりしてまだ仲良くしてた時に
裏の門の鍵は開いとるんよね〜
と話していたのを覚えていた
(不法侵入は犯罪です)
記憶の言葉を信じ裏へ回り門を動かしてみた
簡単に開いた
田舎あるあるで鍵を閉めない家が多い
近所の人に見付からないように
そっと忍び込み、T君の部屋を目指す
何度か訪れた事のある家なので
すぐに部屋を見付ける
ゆっくり
静かに
扉を開ける
そこには私の携帯を握りしめて
ベッドに寝ているT君が
うわ〜めっちゃ取りづらいやん
起こさないように細心の注意を払い
そぉ〜っと抜き取る
するとT君が目を覚ました
いきなり目の前にいる私に困惑しているようで
(鍵ないはずなのにどこから入ってきたのか?とか)
でもすぐに状況を飲み込み
握りしめていた携帯を取り返されたのにも気付き
部屋の中で携帯の取り合いになった
当時、私の携帯ケースがクリアなプラスチックのケースで
何度か落として角が鋭利に欠けていた
携帯の取り合いを何回か繰り返す中
その欠けた部分がちょうどT君の指に軽く触れていた
それをいい事に思いっきり悪意を持って
傷付ける勢いでグッと押した
見事に刺さり血が出るT君
すごく痛そうな顔をしてこちらを睨んでいた
でもその時は可哀想とも感じず
その隙に携帯を奪い返し
裏門へ必死に逃げる💨
車へ飛び乗り自宅へと帰った
その日T君はもう追いかけて来ることはなかった