教育療法の利点は、何といっても個人に特化されていることだと思います。学校や学習塾などでは、あらかじめ用意されたカリキュラムや教材に沿って指導をすることが多いため、各章やトピックに対して、大体同じくらいの時間をかけて指導を行うと思います。それに対して、教育療法は、個人のペースに合わせて指導ができるので、得意分野には時間をかけ過ぎないようにして、苦手分野を集中的に指導することができます。つまり、時間の使い方がとても効率的です。
また、学校や学習塾は、主に文部省などで決められた、「学校で勉強する内容」を教えます。でも、例えば、「効率の良い勉強方法」を教えるクラスや、「コミュニケーション能力」、「テスト勉強の仕方」などは、別途ワークショップや講義などに参加しない限り、なかなか教えてくれる場所ってないですよね。ましてや、「自分に合った勉強法」を教えてくれる人は、なかなかいないと思います。
発達障がいなどを持っているお子様を指導する時、もちろん通常の国語、算数、社会、理科も一緒に勉強しますが、それに加えて、「インターネットの使い方」、「図書館の活用方法」、「時間管理の仕方」、「整理の仕方」、「暗記方法」など、普段の学校の勉強ではカバーしきれない内容を勉強することができます。この点は、保護者の方にとても喜ばれています。
他にも、「タスク分析」という手法を使って、お子様がつまづいている点を徹底的に見つけ出します。例えば、一口に「作文が苦手」といっても、「書くことが見つからないから苦手」という子と、「文字を書くのに時間がかかるので手が疲れてしまう」、「集中力が続かない」、「考えを言葉にできない」という子では、苦手な理由が大きく異なりますよね。この場合、教え方も一通りではなくて、子供の個性の分だけ、教え方が異なります。学校や学習塾など、大人数で教える環境では、このような個人差に対応するのが、すごく難しいと思います。ただ、少人数制の塾や一対一の家庭教師などは、多少融通が利くと思います。
一方で、教育療法の欠点も、「個人指導」にあると思います。学校や学習塾では、同年代の子供と一緒に勉強できるので、友達もできるし、集団生活の練習ができます。良い意味でも悪い意味でも、まわりと比較します。良い友達から刺激を受けたり、まわりに負けたくない、とがんばる気持ちも生まれます。チームワークを勉強することができます。
そういう意味で、私自身は、学校も学習塾もとても大切な場所だと考えています。実際、学習塾も行きながら、私のところに相談に来てくださる方もいます。もちろん、金銭的、時間的な制限があるため、両方やるのは難しいのですが、それ以外の理由では、どちらかを選択しなくてはいけない理由はないと思います。
発達障がいを持つお子様も、学校や学習塾が特別支援教育に対応していれば、必ずしも教育療法が必要ではないと思います。ただ、私の経験上、発達障がいを持つお子様、もしくは、学校や学習塾などの勉強方法が合わないお子様は、様々な分野で予習・復習しなくてはいけないことが多く、一つ一つの課題も他のお子様より時間がかかるので、時間が足りなくなることが多いと思います。そうなると、何らかの方法で時間短縮、勉強の効率化が必要になります。個人に特化した勉強では、その点が有利なのではないかと思います。
「教育療法士と家庭教師のちがい」については、別途記事を書く予定なので、ここでは省略させて頂きますが、「教育療法」の特徴はもう一つあります。それは、教育療法士の専門知識と経験、トレーニングです。教育療法士は、各科目に関する知識だけでなく、「効果的な勉強方法」、「様々な研究結果が認められている指導方法」、「学習に影響する様々な障がい、症候群、病気、特徴、特性、環境などの要因」などを理解しています。
もちろん、各個人によって、抱えている問題や効果的な指導方法、勉強方法、解決策は異なるため、どんな問題もすぐに簡単に解決できるわけではありません。教育療法士も、学校の先生や塾の先生、家庭教師と同様、ご本人、保護者の方々と向き合って、試行錯誤を重ねながら、最善策を見つけ出していく点は同じです。ただ、学習に関して、専門的な勉強をしているため、多少は解決策に関する案や方法を多く知っている可能性があります。その点が、教育療法のもう一つの利点ではないでしょうか。