一億総作家時代。パソコンとネットの普及しているこの時代、多くの人が自分の
ブログを書き無制限に公開している。自分を表現しているという訳だ。 そんな時
代のある話。
「おばさんね、今こんな話を書いてみようと思ってるの…」
年に一度会うか会わないかで久しぶりに会った伯母は目を爛々とさせながら話し
た。要は恋愛ものを書きたいという。だけど私が引っかかったのは、60を過ぎた
伯母が生活の中にこんなに目を輝かせる出来事を持っているということ。(なにぃ?!)
悔しかった。「ふぅ~ん、そうなんだ。面白そうだね」ただ話を聞いているふり
をしながら、気持ちが汗をかいた。
毎日会社に行って日々社会人としての生活を送って(自分頑張っているなぁ)と思っていた私にとって、
伯母の輝いた目は挑戦状のようだった。
60過ぎた人が、仕事もしていない家庭の主婦が、新しく何かを
初めようとしている-。
いつもの私だったら、例えば(だってあの人は仕事してないし、自由な時間が有り余ってるから
出来んだよ)なんて、自分に対して下らない言い訳作ってやり過ごしていたと思う。
でも今は(これでいいのか、このままでいいのか?)と自分の中ではっきりとした焦りがあった。
焦っているのに動き出せないのは・・・
勇気がないから。
新しい事なんて出来る訳ない、誰かに知られたら馬鹿にされるんじゃないか、一番大きいのは
具体的に何をしたらいいのか分からない事だった。そんな私に伯母は輝いてさえ見えた。
何かしたい。何かを。でも、何を?「何か」なんてそう簡単に見つかるもんじゃ
ない。だからこうして周りと同じように社会人をやっているんだ。
それが自分からの逃げであろうと。
