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脳神経外科
戸根修先生の手術動画
「ネックの広い脳底動脈瘤に対するコイル塞栓術-バルーン併用塞栓術-」
脳動脈瘤に細いプラチナ製コイルを何本か挿入して、瘤内に血液が流入しないようにする手術を塞栓術と言う。コイルはマイクロカテーテルという細い管を使って挿入。このマイクロカテーテルを脳血管に誘導するために、先ずやや太めのガイドカテーテルを留置する。今回はバルーンカテーテルを併用した塞栓術を行うので、マイクロカテーテル用とバルーンカテーテル用に、2本のガイドカテーテルを使用した。まず右上腕動脈から右椎骨動脈にマイクロカテーテル用のガイドカテーテルを挿入。右椎骨動脈の起始部は屈曲していたので、手術前の血管撮影で、鼠径動脈からのガイドカテーテル挿入は難しいことが解っていた。上腕動脈からのアプローチでは、椎骨動脈の起始部をガイドワイヤーで直線化すると、5フレンチの太さのガイドカテーテルを椎骨動脈の比較的高い位置まで挿入することが出来た。このガイドカテーテルの中にマイクロカテーテルを通し、造影もするので、ガイドカテーテルは細くても5フレンチの太さは必要。またマイクロカテーテルの操作性をよくするためには、ガイドカテーテルは出来るだけ高い位置まで挿入することが重要である。
右椎骨動脈造影では脳動脈瘤は脳底動脈の先端部にあり、最大径は約8 mm。この動脈瘤は入口すなわちネックが広いため、バルーンカテーテルを併用した塞栓術を行った。
バルーンカテーテルを挿入するための、もう1本の5フレンチガイドカテーテルは、鼠径動脈から左椎骨動脈に挿入。しかし左椎骨動脈は右より細く、しかも起始部が屈曲していたため、ガイドカテーテルを高い位置に挿入すると、椎骨動脈がスパズムを生じ、流れが止まってしまった。やむを得ずガイドカテーテルの先端を少しずつ低い位置に戻し、椎骨動脈の起始部付近まで引き戻したところでようやく血流が再開。ガイドカテーテルの位置が低いと、バルーンカテーテルを動脈瘤近くまで誘導する操作が難しくなるので、やや不利な状況である。
左椎骨動脈の低い位置に挿入したガイドカテーテルを使って、HyperForm 7mm/4mmというバルーンカテーテルを動脈瘤まで誘導する。先ず左椎骨動脈のロードマップを作成し、バルーンカテーテルを挿入していく。ガイドカテーテルの位置が低いことから、バルーンのマイクロガイドワイヤーには、最初はやや太いGTwire .012 90°を使用。これによって左後大脳動脈までバルーンの先端を到達させることが出来た。ここでマイクロガイドワイヤーを通常使用する太さXpedion .010に交換。左後大脳動脈の遠位部までガイドワイヤーを到達させた。これでバルーンが動脈瘤のネックに安定。左椎骨動脈の血流が止まっていないことを最後に確認した。
次に右椎骨動脈に挿入したガイドカテーテルからマイクロカテーテルを動脈瘤に向けて挿入する。マイクロカテーテルの先端を、瘤内の大きなドームの方に向かせることにより、コイルが瘤内にうまく収まるように、蒸気でS字に形成。ガイドカテーテルが椎骨動脈の比較的高い位置に留置されているので、カテーテルの操作性は良好。バルーンカテーテルが動脈瘤のネックにすでに留置されており、マイクロカテーテルの動きがやや制限されるが、このためにどうしてもマイクロカテーテルの挿入が困難な場合は、バルーンの位置をずらすことも対策の一つである。
1本目のコイルの挿入。最初のコイルにはGDC10 3D 5mm/10cmを使用した。ドームはハート形で、コイルは大きなドームの方に先ず挿入して安定させる。最初は瘤内でのコイルの動きを観察し、コイル挿入の途中からバルーンをふくらませ、適切なコイルフレームを形成。この最初のコイルで、いかに安定したフレームを形成できるかどうかで、その後のコイルをうまく留置できるかどうかが左右される。最初のコイルの挿入でバルーンをふくらませていた時間は1分20秒だった。バルーンを膨らませている間は血流が一時的に途絶えるので、この時間は出来るだけ2分以内とするようにする。時間がかかるときは一旦バルーンをデフレートして、休憩する。
最初のコイルが適切に留置されたかを確認するため、右椎骨動脈撮影を行う。瘤内はまだ造影されるが、コイルはネックからはみ出さず、瘤内に良好なフレームを形成することができた。
2本目のコイルにはGDC10 US 3mm/8 cmを使用し、作成したコイルフレームの中に挿入。やはりバルーンをふくらませて、最初のコイルが変形したり、コイルがネックから突出したりすることを防ぐ。
コイル2本挿入後の血管撮影では、大きなドーム内はかなり密に塞栓されたことが分かる。
3本目と4本目のコイルにはGDC10 US 2mm/6cmと2mm/3cmを使用し、動脈瘤の小さい方のドームを塞栓。小さなドームはまだ少し造影されるが、コイルが少しネックから突出し、カテーテルも押し出されたため、これでコイルの挿入は終了とする。
マイクロカテーテルにはマイクロガイドワイヤーを挿入し、慎重に抜去。マイクロカテーテルを抜去するときにコイルの一部が瘤内から引き出されないようにするためである。バルーンカテーテルもガイドワイヤーがコイルを引っかけないように、慎重に抜去する。
塞栓術後の血管撮影では、動脈瘤の状態に加え、脳血管に閉塞などの異常が無いかどうかも確認する。動脈瘤の小さいドームはまだ隙間があったが、その後すでに半年以上の経過観察で、コイルの変形や瘤内の再開通は見られていない。
【戸根修先生のプロフィール】
東京医科歯科大学医学部卒
【現職】
武蔵野赤十字病院 脳神経外科部長
日本脳神経外科専門医
日本脳神経血管内治療学会指導医
日本脳卒中学会専門医
2000年から脳動脈瘤の治療は血管内手術(コイル塞栓術)を第1選択として現在に至る。 脳動脈瘤、脳動静脈奇形などの塞栓術や、2008年4月から保険収載となった頸動脈ステント留置術などの血管形成術が血管内手術の中心で、原則的に血管内手術は全身麻酔で行うことが安全と考えている。 2007年4月から神経内科・リハビリテーション科と協力して脳卒中センターを開設。脳卒中センターはSCU 9床、C-3病棟19床からなり、t-PAによる脳梗塞治療等に積極的に取り組んでいる。
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