バスのなかで中学生二組と一緒になった。
最初に乗っていたのは女の子二人組
あとから男子二人組が乗ってきた。

11時過ぎの微妙な時間、なんで中学生が?という時間なのだが、じきに判明した。

女の子のうち、頭パーな感じで勢いのあるほうがもう一人に囁いた。

ねぇ、見て見て、田中と丸尾が乗ってきたよ!あいつらなんかムカツクよね あー、うざいなぁ…


前を見ると、田中と丸尾は学生服にリュック姿の、正直あまりイケてない二人組。軽い天パーに銀ぶち眼鏡、ガリっとしていて運動は苦手そうな胃腸が弱いタイプ。

(うむ… なるほど)

と、妙に納得。



田中と丸尾が近づいてきて二人に気付いた。

やぁ、おはよう。と、二人に声をかける。

女は丸尾(たぶん)に話し掛ける。


「発表見に行ったの?」


どうやら高校入試の合格発表だったらしい。


うん、と頷く丸尾。

「そうなんだ!どこ?どこ行ったの?」と田中と丸尾に浴びせかける二人。

「○○○○」と、偏差値72を誇る県下有数の学校名を告げる丸尾


「えー!どうだったの?」と、むき出しの好奇心を隠さない二人。


ダメだった…とうなだれる丸尾。でも、本命じゃないからと必死に丸尾をフォローする田中。

そうなんだー 残念!
で、田中は?


う、うん…   受かった。

と、小さな声で語る田中。


きゃー!す、すごーい!
と、はしゃぐ二人。

頭をかく田中。


田中くん、すごいねー!

いつのまにやら君付けに昇格。


やがて、バス停に着き、四人と私は降りた。

同級生が何人かいた。


女はまるで自分の実績のように報告する。


ねぇねぇ、田中くんが○○○○に受かったんだよ!
丸尾は残念だったけど。


女子に囲まれ、祝福を受け、うれしそうな田中。

のびたが、一瞬にして出来杉くんに昇格した瞬間だった。


田中から すぅー っと距離を置く丸尾の姿を見て枝豆はつぶやいた。




ファイト、丸尾。