はとphone

はとphone

歯と骨切りの話題。顎変形症治療の記録のためにつけています。

Amebaでブログを始めよう!
入院した次の日(手術の前日)に歯科衛生士さんによる歯磨きインストラクションがあった。
担当は初めて会う歯科衛生士さんだった。入院してからすっごいいろんな医療スタッフの人が入れ替わり立ち替わりやってきて、まず自己紹介してから身の回りのお世話をしてくれるのだが、ひとが多すぎてお名前を覚えきれない。この歯科衛生士さんもお名前を覚えられなかった…忸怩。

というわけで、歯磨き指導。
入院直後の外来で矯正のワイヤーにフックがついているので(ゴムかけ用のフックだと後に知る)、いまでもじゅうぶん磨きにくい感じがしているのだが、手術をすると、さらにすごーーーーく磨きにくくなるということを言われた(が、なかなかまだその磨きにくさを想像できない術前の私であった)。

なんといっても、顎間が開かなくなるということなので、歯の内側(舌側)が磨けなくなるらしい。ほんの少し開いた隙間から、歯ブラシやスポンジブラシを差し込んで、撫でるくらいしかできなくなる、という。
あまり開かない顎間にも差し込んで使えるようにと、ヘッド部分の薄い歯ブラシを紹介してもらった↓

バトラー ハブラシ #025S 12本 [ヘルスケア&ケア用品]

それから、いろいろと歯磨きテクニックを習ったのだが、おお!と思ったのは、歯間ブラシを歯間ではなくワイヤと歯のあいだに使うというテクニックである。

意味わかるだろうか。矯正をしているひとの歯にぐるっとワイヤーがついているのを見たことがあるひとは多いだろうが、そのワイヤーと歯のあいだに食べかすが詰まるということがあるのである。
これまで矯正してきて、ワイヤーと歯のあいだにたしかにごはん粒がよく挟まった。歯が小さい下顎の前歯などはなおさらである。
そのワイヤーと歯のあいだに、歯間ブラシを挿入し、ゴミを取るのだった。

歯間ブラシは普通は、歯と歯のあいだに使うんだけど、それを、歯とワイヤーのあいだに使っちゃおうというワザです。
歯と歯のあいだより、ワイヤーと歯のあいだの方が隙間が広いので、サイズはM。青い歯間ブラシです。↓

お試しセット ライオン DENT.EX 歯間ブラシ 4本入 ×4 個 (M(ブルー)) [ヘルスケア&ケア用品]

矯正をはじめてから、すごくいろんな歯磨き道具を試してきたが、この歯間ブラシをワイヤーと歯のあいだに使うというワザは試したことがなかった。そして試してみるとすごく良い!!

あとは、4S サイズの極細の歯間ブラシを歯間に使い、ワンタフトブラシでブラケットの周りを掃除する。
4つのブラシでこまごまやると、けっこうきれいになりそうだ、という感じがしてウキウキとした。道具を使い分けることで、4本道具を使えば4周分歯にチェックが入るから、もれなく磨ける気がしてよいな、と思った。

あと、口の中で舌が汚れるので、舌をスポンジブラシで掃除してください、といわれる。

この歯磨き指導によって、ふうむ、口が開かなくなるんだな、ということは理解したのだが、それがどんな状態をもたらすのかをこのときの私はまだ知らなかった…。術後、一番苦労するのは、この口腔ケアになるのである…。
口腔ケアの大変さが骨身に染みるまで、あと48時間…くらい。
入院前の下調べの記録を少しばかり。

やはり読んでていちばん楽しかったのは、医学生のみなさんの読む教科書である。
病気の概説から、治療法まで、標準的なことが書いてある。もちろん、医学は日進月歩なのでどんどんアップデートされていくので、全てを鵜呑みにすると医師とのあいだに齟齬が生まれるが、まあ概論的なことを知ったりとか、論文を読むためのタームを日本語・英語双方で知ったりするのにはすごく役立った。

患者になったら医学教科書を読むというのは今後の習慣にしよう…(゜ー゜キラッ

面白かったり勉強になった教科書を紹介する。3冊。

(1) 高橋庄二郎・黒田敬之・飯塚忠彦 編(2001) 『顎変形症治療アトラス』  医歯薬出版株式会社  (品切れ)

これは楽しい本だった。顎変形症の治療だけに絞ったアトラス本。顎変形症だけで500頁。
顎変形症の概説から、治療の歴史(術式の歴史)、治療に当たっての留意点、術前術後の管理、などなどが章ごとに書かれているので、全部読まなくてもまあ知りたいところだけ読める。

いちばん知りたかったのは私の場合、術後の生活についてだったので、どのような術後合併症が起こるのかとか、術後の患者の管理をどうするのかについての記述が非常に役に立った(第8章)。
主治医からは、腫れがあること、麻痺があること、などが伝えられていたが、その内容がどのようなものなのか、どれくらい続くのかを、読んで知ることができた。
腫れは1ヶ月くらい、麻痺はそれよりもながく半年ぐらいかけて神経が再生していくのを待つのであった。術式も、SSROという術式で行うと麻痺が80%くらいだか出ると書いてあるので、麻痺が出るのは確実であるようだ、とか。しかも、1週間とかではなく、半年くらいのスパンで様子を見ていく必要があるのだなということ等々を知った。

あと手術時の麻酔において大切なのは気道の確保とか…。なんかべつに私が知ったからといってどうなるわけでもないんだが、ああ麻酔で呼吸のチューブが入るんだなとか理解するために、なんのために必要なのかを知っておくとやや気持ちが楽ってゆーかなんというか。まあ下調べなんてそのためにやっている。どうせ医師よりは詳しくはならないのだが、自分の不安を先に埋めておくのだ。

教科書にでてくる、IVROとかSSROとかそういうタームを知っておくと、医者が話している内容が理解できるので、ぼーっと患者として口を開けている時間も有意義に過ごせてよかった。Class IIIとかカルテに書いてあるのも意味がわかる。

ClassIIIに関連して、何が病気ではない標準の顎なのか、あるいは、病的な顎とはなんなのかの定義を知ることができたのもよかった。顎変形症の状態の顎であると自分の顎が定義され、そして、どのように動かすべきかが決めるのも、おそらくはなんらかの計算式があって、教科書には書いてないけどいまだとコンピューターソフトでできるんじゃないかなー…という気がした。いつか医師に聞こうと思ったけど聞く間がなかったな。。

あとは、患者の心理的ケアの問題なども詳述されてて、なるほどーと思うところが多かった。
顎があるせいで自分は醜いとか奇形だとか、多かれ少なかれ思いこんでいる人は多いのだなーというのを知れた。で、そうした思いこみのもともとの激しさと、術後の顔のイメージの違いで、精神的な問題が起こる場合もあるらしい。そういう場合は手術の非適応になる、とまで書いてあった。自分はどうかなー。まあそんな思いこみ激しくないけどなー。でも気をつけよー。という感じのことを思った。

(2) 白砂兼光・古郷幹彦 編著(2010)『口腔外科学』 第3版 医歯薬出版株式会社
口腔外科学

これはたぶん標準的な口腔外科学の教科書です。
たぶん、って書いているのは、医学部図書館で目にしたものを読んでるだけなので、なにがスタンダードかよくわからないのであります。。

もともと医学史が好きなので、これまでノーマークだった歯学史の概説がちょっぴり最初にあるのが興味深かったし、あと、口腔の仕組み(咀嚼と嚥下がどう起こるかなど)の一般的図解もすごく助かった。
(というのは、術後、咀嚼と嚥下がうまくできなくなるからです…)
口腔外科一般についてなんとなくの見取り図をもつという意味ではすごくよかった。

入院中は口腔外科の先生にお世話になるので、口腔外科医師がどのような疾患を扱うのかを大まかに知っておくと、多数の患者のなかでの自分の疾患の位置付けみたいなんを知れて、自分が相対化できてよかった。

(3) James R. Hupp・Edward Ellis Ⅲ・Myron R. Tucker 著 里村一人・濱田良樹 監訳 (2011)『現代 口腔外科学<原著第5版> 』里村一人・濱田良樹 監訳 (2011)『現代 口腔外科学<原著第5版> 』 エルゼビアジャパン.

現代口腔外科学

これはアメリカの教科書の翻訳で、出版年が新しかったから手に取ったんだと思う。

23章「顎変形症の治療」で、概説的なことが一通り書いてあったあとで、特徴的だったのは症例写真がすごく多いことだった。症例写真とともに、セファログラムや、術式が並記してあるので、自分に適用される術式の症例が見ることができる。アメリカの教科書なので、すべて外国の方の写真であるが、目線も隠してなくて明るい感じの写真で楽しい。
(日本の教科書の症例写真は目の光彩が塗りつぶしてあったりして怖い…。あまり素敵じゃないので手術したくなくなる…。)
アメリカでも顎変形症の治療が行われていることがわかる。

もうひとつ面白かったのは、アメリカには公的な健康保険制度がないため、術後4日程度の入院で退院させられると書いてあることだった。4日?!という感じだが、まあそれくらいで基本的な生命維持はできるようになるのかな。。。というイメージを持った。


 ***

まあこんな感じで、教科書、楽しかった。
必要なところはコピーして、家族にプレゼンするのに使ったり、見舞いに来た友達に、なんの手術をしたのか理解させるのにもあんがい役だった。
学会誌などもみてみようと思い、医中誌webで調べる。
「日本顎変形症学会雑誌」というのがあるようだ。

J-Stageで無料公開されている。
とても助かる。ありがたいことです。

「日本顎変形症学会雑誌 (The Japanese Journal of Jaw Deformities)」
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jjjd/-char/ja/ 
(2014年02月23日現在 収録数: 781記事)

たとえば、次のようなものをみると、ある大学病院で顎変形症手術をしたのがどんな属性をもつ患者で、どんな経過をたどったのかのおおむねの傾向がわかる。

内藤聡美 et al. (2013) 「東京医科歯科大学咬合機能矯正学分野における過去15年間の顎矯正手術症例の調査 」

疫学的には、20代女性で下顎前突という自分のような患者は、よくあるケースであることがわかる。

「臨床統計的観察」など、統計学的な論文は、それぞれの診療期間ごとに定期的にだすものであるらしく、「当科における顎変形症手術の統計的観察」みたいな論文はかなりの数がある。

そうした論文の内容は各科でバラエティがあり、患者の属性はどの論文にも掲載されているが、手術の術式、手術にかかった時間などの平均が検討されている論文もあり、参考になる。

残念ながら、私が受診している大学病院の口腔外科の過去の顎変形症の統計的検討の論文は見つけられなかった。


術後合併症に関してもきになる。

なんせ、手術のあとどんな生活をするのかまったく主治医から聞いていないのだ。
というわけで、「術後」でワード検索してみて、
次のような論文を見つける。

大井一浩 et al. (2010) 「 顎変形症患者の術後の嘔気・嘔吐に関する検討

そうかー、Postoperative nausea and vomiting というのがあるのかー、で、顎間固定とかしていると大変なんだなあ。とか。

たぶん術後さまざまな不快感や痛みに襲われると思うので、そういうとき自分のケースが通常の過程をたどっているのかそうではないのかを、あらかじめ知っておくことは意味があるように思う。

そういう意味では、術後合併症の疫学のような論文があると助かるのだが、あまり見つけられないでいる。

とりあえず今夜はそんなところで。

それにしても J-Stageすばらしい。リポジトリ愛してる。

顎変形症の術前治療を始めてから1年8ヶ月。
いよいよ手術が近づいてきたので、ネットで情報を集め始める。

わりとすぐ見つかったのが、以下の Yahoo知恵袋の質問(2011年)。


顎変形症、下顎前突の外科手術に対する不安…… 17歳(高3)女 来月、上記のよ... - Yahoo!知恵袋 

その回答で紹介されていた、以下のブログを拝読させていただいたりした。
男性のかたで、さっぱりと経過を書いてくださっている。

俺と医者 歯科矯正日記(受け口) 顎変形症治療 - FC2 BLOG 

これらのブログや質問を読んでいると、私は手術の方法や入院期間はかろうじて聞いているが、術後の経過のことなどはほとんど主治医から聞いていない…ということに気付いた。

術後の顎間固定で口が開かないということとか、ぜんぜん説明聞いてないぞ…

大学病院でつねに先生が忙しそうで、ほとんど質問らしい質問ができていないので、不安が募ってくる。

入院まで、もう診察はない。

たぶん、入院したらその日かその翌日に術前の説明を聞いて、同意書にサインをして、手術に突入するのだろう。
こんなに何も知らないのに、同意書にサインしなければならないのだ。

やば。

もうちょっと勉強しなければ…、と焦る。