半年が経ったころ・・・。


“人づくり”の途中経過を会議の場で発表することになる。


今までの経過を発表すると・・・。


質問が、やたらと飛び交う。


あいつが、そんなに変わるハズがないと・・・。


誇張するのも・・・。


全然、変わっていないだろうビックリマーク


あんなとこも、こんなとこもダメだビックリマーク


12人いる店長から、全否定とも言える非難を浴びた。


悔しかった。とても。


私が非難されるよりも、彼のことを言われるのが辛かった。


我慢の限界を超えた。


次の瞬間、こう言っていた。


あなた方は、彼を遠目で見ている。先入観で見ている。


彼の何を、知っているのか!!むかっむかっむかっ


私は、彼を間近で見ている。


彼のことを一番知っているのは私だ。!! 爆弾


とやっちまった。


場内が静まり返った。



それから


鈴木君の行動、態度が、それにも増して変わっていくのである。


なぜ、変わり始めたのか知らなかったが・・・。


私が“やっちまった。”内容をある店長から耳にしていたようだ。


その後も・・・。


“やっちまった。”内容については、私も部下も触れることはなかった。


まとまってきたを実感するころには、営業所の実績も上位につけるとこ


ろまでに来ていた。



逃げなくて良かった。



1年が過ぎようとした頃。


出店計画がもちあがり・・・。


さあ、誰を店長にするかはてなマーク会議で議論となる。


私は即座に、鈴木君を推薦した。


よかろう。満場一致であった。


しばらく前までは、99対1であったものが・・・。


目頭が熱くなった。


とても嬉しかった記憶である。




その後、所長となった彼は私を抜き去り営業所実績でトップをとるこ


とになる。









17.8年くらい前のこと・・・。


部下に教わった記憶である。


部下を育てましょうビックリマークと言う目的で“人づくり”を幹部社員が


行うことになった。


次期所長になる者を選んで、取り組むこと・・・。


赴任して間もない営業所で私が選んだのは、鈴木君。


(赴任の目的は営業所の立て直しであった。)


この鈴木君、赴任する前からいろいろウワサを耳にしていた。


悪態はつくは、見た目も悪いわ。


俗に言うツッパリ。叫び リーゼント。


言葉使いもなっていない。


赴任する前に、それなりの先入観を持ってしまった。あせるあせるあせる



初日、見た目から怒鳴ってしまう。


彼も私も若かったせいか、その後も度々衝突するんですね。


心の中では、なんでこんなヤツ採用したんだビックリマークむかっと・・・。



そうこうしている間に3カ月が過ぎる。



ある日、営業所に一人の老婆が訪ねてきた。


名前を聞いていなかったのですが・・・。


25.6歳くらいの男性いますかはてなマークと。


実は、先日こちらの前の道を歩いて・・・。


躓き転んで、足首を捻挫しました。


その時、こちらの従業員の方が親切にも、駆け寄ってきてくれ


介抱してくれました。


その上、自宅まで送っていただきました。



そのお礼に伺ったとのことであった。



私以外に男性は、A君しかいないのである。


心の中で、アイツがそんなことするはずがないと・・・。


とりあえず、裏の工場へ行き話しをする。


自分です。


会いたくないので、代わりに受け取っておいて下さい。


と言ってやりかけの作業へ・・・。


(照れくさかったんでしょうね。きっと・・・。)


このあたりから、少しづつ見方が変わっていく。



当時、営業所の勤務体制は早番、遅番、休日出勤があった。


ある日、早番で営業所に行くと所内が綺麗に掃除されていた。


また別の日、早番で営業所に行くと所内が綺麗に掃除されている。


不思議に思い、シフト表を確認するとどうやら鈴木君のようである。


掃除は、早番の者がやるようにしていたのだが・・・。


指示をした記憶はない。


鈴木君に


『いつも掃除してくれてありがとう』


と言うと・・・。


お礼を言われるものでもない。暇だからやったまでですよビックリマークむかっ


と、全く可愛げない。


それを朝礼で話をした。


その後、自主的に他のメンバーもやるようになった。


正直、とても嬉しかった。


まとまりのなかった営業所が・・・。


動き始めた瞬間て゜あった。



随分と彼に対する見方が変わった。


行動をともにすると以外や以外、いいところがあるもんだ。


先入観で見ていた自分を恥じた。



教えられたのである。


初めから否で入ったことを・・・。

続くあし



いらないモノを処分することが整理であり


欲しいモノをいつでも取り出せることを整頓という。


大野耐一 



整理、整頓で思い出すことがある。


10年くらい前、トヨタ系の会社にいた。


経営者が入れ替わって間もない頃、その経営者に日に何度も


呼ばれていた。


用件は様々だが、決まって最後に資料を持ってきてくれと・・・。


それが、時間を区切られる。3、5分以内と・・・。むかっ


そう言われると優先せざるを得ない。


まったく勝手な人だと思いながら、資料を探すが・・・。


すぐには見つからない。


さらには、自部署以外の注文もあった。


何度も時間に間に合わず、怒鳴られた。



ある日、怒鳴られるのもイヤなので、机の中、パソコン内データ


を整理することにした。


机の中を整理して見ると、自分でもビックリ。叫び


半分はいらない資料があり、処分することに・・・。


ついでに、残ったものも分かり易いように分類して綴じた。



翌日、朝礼で自身の整理、整頓の状況について話をした。


半分がいらない資料があった。と・・・。


だから、皆も、いつでも必要な書類が出せるよう、整理、整頓をす


るように!!


後ろの方で聞いていた経営者、ニコリと微笑んでいた。



3、5分以内に持って来いと言ったのは・・・。はてなマーク


カイゼン、整理・整頓をさせようとしたものであった。


言葉に出さずに、困らせる。


困れば、どうすれば良いか考える。智恵がでる。


これも、トヨタ流のやり方である。



困れば智恵は出る。


すすんで自分を困った状態におくことは、なかなかできるものでは


ない。誰かが困った状態をつくりだしてやることが、必要になる。


上司はあくまでも部下を困り続けさせねばならない。


大野耐一