いつも小銭をくれるおじさんが、会社にいる。取引先のお客様だ。その人は来るたびにお金をくれた。断っても、くれた。
年齢は七十になったばかりだったと思う。
今日あったら、げっそりしていた。顔だけじゃなくて、首まで真っ白になっていた。
癌なのだそうだ。
この前、初期の癌だと言っていたのに、あっという間に悪化してしまったのだろうか。
あっという間にげっそりしてしまっていた。
もうすぐいなくなってしまうんだと思った。
ねえ、神様なんであの人を連れて行ってしまうの?まだ早い。まだ早いよ。
あと10年は生きないと。たくさん、遊んで楽しまないと。
まだ早いよ。連れて行かないでよ。
そんなふうに思うのは、ただの私のエゴなんだろう。
ただ、願わずにいられない。
あの人がいなくなったら、みんな悲しむよ。とっても悲しむよ。
だけどそんな願いはどこにだってたくさんある。
その人ばっかりじゃない。
みんないずれはいってしまう
これは変えられないことなんだ。
だけどとっても寂しいよ