お久しぶりです。お休みをいただいて2か月半。まだまだ暑い日が続いています。

もう日本も亜熱帯になったかと思うほど真夏日の記録が更新され続けました。この間、スポーツの話題が一杯でしたね。特にパリオリンピック・パラリンピックは盛り上がりました。日本は多くのメダルを獲得し、多くのドラマを演出しました。中でも馬術は団体で92年振りに銅メダルを獲得しました。1932年のロス五輪では西竹一がウラヌス号に乗り金メダル。男爵であった西はバロン西と呼ばれ海外でも有名でしたが、太平洋戦争の中、硫黄島で戦死したのです。馬術はアメリカ・ヨーロッパが強くなかなか勝てない種目ですが、日本チームは頑張りました。柔道、体操、レスリングはお家芸ですが、馬術やフェンシングはヨーロッパの壁は厚かった。しかし、今回の快挙には驚きました。日本はスポーツ大国といっていいですね。

 

 全体を通じて私が感動したのは陸上女子のシファン・ハッサン選手でした。彼女はエチオピア生まれで15歳の時、難民としてオランダに逃れ、オランダ国籍で出場しました。彼女が凄いのは、800mからマラソンまでこなす天才アスリートという点です。前回の東京オリンピックでは、1500mで銅メダル、5000mと10000mで金メダルを取っています。今回は何と5000、10000,マラソンにエントリー。5000と10000は銅メダルでした。そしてマラソン。いつも通り後方に位置して機を伺います。集団が絞られ、かなりの急坂が勝負所。ここで抜け出したのは、驚異の世界記録を持つエチオペアのアセファでした。しかし、ハッサンが来た!黙々と走るハッサンは最後にアセファを3秒抜き去りゴール。感動的な幕切れでした。

 

 今から半世紀以上前、5000,10000、マラソンで金メダルを取った男子選手がいました。人間機関車と言われたチェコスロバキアのエミール・ザトペックです。永遠に破られない長距離三冠です。1952年のヘルシンキ大会でした。その時のマラソンのタイムは、2時間23分3秒のオリンピック新記録でした。ハッサンは、2時間22分55秒のこれもオリンピック新記録。72年たって男子の記録を上回ったのです。ハッサンの凄さは、世界陸上ドーハで1500mと10000mの2冠を手にしたことでも分かります。普通は800mと1500mの二冠が常識なのです。難民としての苦労が嘘のように明るい笑顔を作るハッサンは女子ランナーの尊敬の的でもあります。忘れがたいレースでした。