夜を歩こう
夜を歩こう
ねむたげに閉じた
睫毛のさきに
宿す夜露の
そのまろみ
夜を歌おう
夜を歌おう
煙草を揉みけし
栗の花ゆれて
風に鳴る音(ね)を
聞き入るために
夜を歩もう
夜を歩もう
朝のステップは
カッコウのため
昼のステップは
白猫のため
夜のステップは
この僕だけのために
たなごころにある
紫陽花は
明日への道標に
落としてきた
明日をたどろう
明日をたどろう
気分のままにこぼれた色を
心変わりの可笑しさを
射干玉の蝌蚪
水田の銀波
闇のはざまに
抱かれるひとの
吐息も朝は
オパールの彩。
(おわり)