「しかし犬は、あの晩、なにもしなかったはずですが」

 

「だからこそ不思議だというのです」

 

ー回想のシャーロック・ホームズ <シルヴァー・ブレーズ>号の失踪ー

 

何回か、何年かぶりに、シャーロック・ホームズにはまる。

 

初めてホームズを読んだのは、たぶん小学生のころで、よく図書館にあるような児童用の本だった気がする。

題名は覚えていないけれど、まだ他の推理小説を読んでいなかったからか、ワトソンを相手に次々と推理を披露するところなどは、

作中のワトソンと同じようにびっくりしていたものだった。

 

2回目は、高校時代、NHKで何度か再放送をしていた、イギリスグラナダTV版のドラマ(※1)を見たときだ。

当時ドラマを見たとき、これだ!これがホームズだ!と感動して毎回ビデオに録画していた。

そこから新潮社のホームズ(延原兼:訳)を集め始めた。

 

そして今回、たぶん何かのアンソロジーの贋作ホームズ(※2)を読んで、ホームズ熱再燃。

今度は贋作が面白いことに気づき、探してみると、あるわあるわ・・・。

正典を忠実に意識して書かれているものから、完全に茶化して(ホームズをおちょくったり、変なことを言わせて遊ぼう!的な)いるものから・・・

 

今日は、肩の力を抜いて「ルーフォック・オルメスの冒険」(※3)でも読んでゆったりすることにした。

 


 

※1

ご存知、ジェレミー・ブレッドの「シャーロック・ホームズの冒険」シリーズ。

一部の筋からはジェレミー・ブレッドの冒険とも言われてたりする。

 

※2

シャーロッキアンの間では、コナン・ドイル作のものを「正典」、それ以外のパロディ・パスティーシュを「贋作」と呼んでいる。

そもそも作者はコナン・ドイルではなく、まさに「ワトソン博士」であって、コナン・ドイルは著作権管理人にすぎない、などの派閥も。

贋作ホームズのアンソロジーは、最近文庫化した「~の栄冠」が秀逸。シャーロッキアンでもある訳者の解説が恐ろしく細かい!

 

※3

ホームズみたいな探偵で遊んでいるホームズパスティーシュ。

空飛ぶボートを追いかけたり、骨が家出したり・・・

落語みたいなオチのつく話も多く、だいぶぶっ飛んではいるが、それがのどかな風景でもある。

 

 

読書こそおれのセラピーだ

         ―ケン・ブルーウン「酔いどれに悪人なし」―

 

 ゴールデンウィークということもあって、夜更かしして本を読んでいた結果、昼ごろに起き出す。午前中の時間を無駄にした感じがして、少しばかり後悔。近所の立ち食いそばや、通称「一由さん」に行き、春菊天ゲソ天そばを食べる。下町によくありそうな、そんなに清潔ではない店だが、気合はすごい。なんと、立ち食いそばやなのに24時間年中無休である。食べていると、中学の部活帰りらしき少年が、ゲソ天(60円)をテイクアウトしていた。

 

 古書店をいくつか回り、最後はブックオフに行く。こんなことを言うと、古書好きな人に怒られそうだが、私はいわゆる古書はあまり好きではない。きれいな本のほうが好きである。どうしても、手に入らない本は、古書で買う、というくらいで、復刊されればもちろん新品で買いたい。それでも古書店にたびたび足を運ぶのは、書店にはない品揃えや本の並べ方があり、普段は自分が読まないような本にめぐり合うことができるからなのだ。その点、ブックオフはちょうど古書店と新刊書店の中間にあり、使い勝手がよいのかもしれない。

 

 家に帰り、ケン・ブルーウンの「酔いどれに悪人なし」※1を読む。どうも、ハードボイルドというと、酒と女とバクチと暴力と相場が決まっているようで、この作品の探偵ジャック・テイラーも、アル中に苦しむ元警官の探偵である。ただ、少し異質なのは、ジャック・テイラーは無類の本好きであり、物語のそこかしこに本の話が出てくる。酒と本という、相反しそうなものが、小気味のよい文体とテンポで語られる。これは、ウイスキー片手に読むしかない。と普段は絶対買わないウイスキーを仕入れ、ロック&チェイサーで飲みながら、読んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※1)一章が短く、とても良いリズムで読める。本好き探偵と言えど、そこはハードボイルドなので、この主人公も常に満身創痍、ぼろぼろである。

 

四万六千日、お暑い盛りでございます。-「船徳」八代目 桂文楽

 

 

ここのところ、読書熱の再燃がすごい。引越しをする、というので、本棚を整理していたら、むかし読んだ本がゴロゴロ本棚の奥から出てきて、懐かしげに読んでみると、まるで内容を覚えておらず、また楽しめたのがきっかけかもしれない。(同じ本が2冊出てきた、という本好きあるあるの一幕もあった)※1

 

今までも、主に推理小説を中心として、いろいろ読んできたが、記録を取っていなかったので記憶も遠いかなたへ・・・。いや、記録を取っていたとしても、同じことなんだろうけど。また、日記をつける習慣もない。三日坊主も続けばいいほう、飽き性なので、いつまで続くか・・・だが、本と自分の付き合いの日記をつけてみようと思った次第。

 

ブログの最初の書き込みともなると、書き出しがムズカシイ、どうしていいかわからない。それでは、と日記調で書いてみる。今日は久しぶりの平日休みなので、近所の、うまいと噂の中華屋に行こうとしたら、まさかの定休日。ふと、上を見上げると、どうやら上には古書店があるようだった。古書店isワンダーランド。早速入る。通常の大型書店と違って、古書店には古書店の楽しみがある。希少本ハンターも多いようだけど、なかなかその域には達しない。今日は小林信彦の「面白い小説を見つけるために」※2を手に取った。元の題は「小説世界のロビンソン」。ぐっと来る。誰しも本の漂流者なのだ。作者は落語への造詣も深く、パラパラめくると、志ん生、文楽など、懐かしい大名跡が並んでいた。作者も序章でふれているように、小説や文章は書き出しが難しい。冒頭の文は、文楽の「船徳」の入り。これだけの文字数で、この後の船徳の世界が、ピシリと締まってくるから不思議。船徳を思い出しつつ、日本酒「磯自慢」を買いに行く。久しぶりの、優雅(?)な一日だった、かは疑問に残るところだがまあよいとしよう。

 

 

 

 

※1)アントニイ・バークリー「毒入りチョコレート事件」である。

 

 

 

 

 

 

※2)いかにも教養本のような表紙