欲しい物はなんでも手にはいるのに
「私の物語」 それがない それだけが手に入らない
「私の物語」ヲ証明セヨ
そうよ いつもいつも一生懸命やってきたわ
恋も仕事も結婚も子育ても全身全霊で打ち込んできたもの
なのに私の手には いつだって何も残らない
こんなはずはなかった という失望感と
砂を噛むがごとき空虚感
「こんなはずではなかった現実」に「幸福の粉砂糖」を振りかける.
持たざる者にとっては 手の中の僅かのものが
己の存在を懸けたかけがえのない宝であり
一方で 持てる者はより多くの宝を望んで止まなくなる
持たざる者の手から奪ってまでも 持てる者は肥え太ろうとする
持たざる者の貧しき地獄か 持てる者の際限なき欲望の地獄か
果たして どちらの淵が深いのか
まだ 私は知らない.
でも「私」は知っている
憎む必要もない 嫌悪する理由もないものを憎み 嫌悪するのは
それが
「絶対に見たくない自分」だからに違いない.